備品がなくなったらダッシュボタンでポチる
「AWS IoTボタン」×製造業で変わる部品流通システム 足りない部品は自販機で
「AWS IoTボタン」とERPシステムを連携させれば、一部の発注プロセスを合理化できる可能性がある。Jergens Industrial Supply(JIS)による製造業向けのサプライ用品自動販売システムに関する事例を紹介する。
未来の工場は、モノのインターネット(IoT)や予測分析、ウェアラブルデバイス、ドローン、ロボットを活用する自動化された環境として描かれてきた。このリストに新しく、特製の自動販売機と、Amazon.comが人気に火を付けた「IoTボタン」を追加するようになるかもしれない。
IoTボタンとはプログラミング可能なクラウド技術であり、初めは一般消費者向けの「Amazon Dash Button」として登場した。ユーザーがこのボタンを押すと、消耗品を繰り返し注文できる。Amazon Web Services(以下、AWS)はその後、エンタープライズプラットフォーム向けに「AWS IoTボタン」をリリースした。
流通業者のJergens Industrial Supply(JIS)は最近、注文、配達、購入を処理するERPシステムとAWS IoTボタン技術を統合すると、こうしたプロセスを全て合理化でき、コスト削減と効率性の向上につなげられることを発見した。
JISは興味深い方法で製造業者への製品供給をしている。サンドイッチの自動販売機とそれほど違わない特製の自販機を使って、工場が在庫を確保できるようにしているのだ。JISは全ての在庫を工場内にそろえ、従業員が何かを取り出した時にのみ製造業者に料金請求がなされる。
このプロセスでは、何らかの在庫管理の方法が必要になる。AWS IoTボタンと自販機によって生成されたデータを使えば発注ができ、JISのERPシステム「Epicor」が処理するプロセスを自動化できる。
サプライ用品の自販機
例えば工場の従業員が新しいドリルビットを必要とする場合は自販機から取り出すことができる。従業員がIDを入力するか、身分証明書をかざすと、その部品を誰が何のために必要としたかが記録される。
JISのゼネラルマネジャー、マット・シュロン氏によると、自販機から取り出した品物を特定の業務と結び付けることで、管理職は「1人の従業員がより多くのツールを使ってコストを増大させている問題があるかどうかを把握できる」という。
自販機から取り出せるものを制限することもできる。もし1人の従業員が作業用手袋を取り出して同じ日に返品し、別の手袋と交換しようとした場合、その従業員が上司の許可なく2つ目の手袋を取り出すことができないよう、自販機をプログラミングできるという。
シュロン氏によると、AWS IoTボタンは特定の供給品の隣にすぐに設置できる。ボタンを押すと、供給品の補充が必要なことを通知できる。従業員がボタンで通知を送った全ての注文が集計されたら、午後3時に顧客へメールで報告が届く。顧客が注文の内容を見て確認すると、ERPシステムによって処理される。
このAWS IoTボタン(同社は「JIS Express」ボタンと命名している)は、自販機と違って、保証付きの在庫システムではない。ペーパータオルや冷却ドラムなど、それほど重要ではない品物や、自販機には収まらない大型品目のための、よりオープンな在庫システムとして設計されているという。
AWS IoTボタンと自販機を組み合わせれば、紙を使った在庫記録の必要がなくなる。ツール管理者などの従業員が構内を歩き回って、補給が必要な供給品の隣にあるボタンを押すだけで済む。「ボタンを押すと、その管理者のために注文書が作成され、生産性が向上する」とシュロン氏は話す。一方ERPシステムでは、その顧客とJISに最新の在庫情報を提供し続け、JISがいつ自社のサプライヤーからの注文を必要とするのかが分かる。
IoTボタンによるコスト削減
もし顧客が何千もの品目を必要とする場合、JISがその顧客の在庫を管理する自販機を設置できるチャンスもある。だがそうした特別な自販機には2万~4万ドルかかる。規模の小さい顧客にとってはボタンの方が向いている。ボタンのハードウェアは、ソフトウェア開発や関連するサポートを除き、20ドル程度だという。
IoTボタンはビジネス現場で利用されているが、結果はまちまちだ。
工業用IoTベンダーであるBright Wolfのマーケティングディレクター、マーク・フィリップス氏によると、もしユーザーがコピー機の故障を見つけて「サービス」ボタンを押したとしても、リクエストを受信したことをサービス担当者が知る手段も、追加情報を提供する手段もないという。コピー機に必要な注文は発注済みかもしれない。そうした遅れが認識できないことから、ユーザーのボタンに対する信頼はたちまち失墜しかねない。
だが産業界で装置の特定部分の継続的な監視を保証するためにIoTボタンが使われる現象は、フィリップス氏も認識しているという。
「装置にボタンを付けて、指定された期間内に少なくとも1回押されたことを示すデータの痕跡を作成すれば、コンプライアンスを保証するシンプルな方法になる」とフィリップス氏は話している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
市場調査・トレンド
[AvePoint Japan株式会社] “SCS評価制度”対応の第一歩、自社環境と要求事項とのギャップを把握する方法 -
製品資料
[株式会社BREXA Technology] 情報整理の自動化でインシデントの初動対応を効率化、AIエージェント活用のコツ -
製品レビュー
[ヴィーム・ソフトウェア株式会社] SCS評価制度を導入するだけで十分? 組織の防御力を高める活用方法とは -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] AIランサムウェアに勝つ 自律型エンドポイント管理導入で確認すべき条件4つ -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
2
VMware離れの決め手は“機能”以外だった 情シス109人が選んだ新基準と死角は
-
3
「企業におけるAIの運用」に関するアンケート
-
4
Claude Opus 5.5、GPT-6 Sol/Luna登場 情シスが迫られるモデル使い分け
-
5
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
6
ITエンジニア1265人調査 生成AIを使い込むほど「人の確認」が重い理由
-
7
いまさら聞けない「ゼロクライアント」と「シンクライアント」の違いを比較
-
8
「法人向けPCおよび周辺機器」に関するアンケート
-
9
二極化する生成AI活用 「一部の社員しか使いこなせない」をどう解消すべきか
-
10
「ERP(統合基幹業務システム)の導入・活用」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
2
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
3
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
4
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
5
月1000枚の紙を削減 9年動けなかった組織が、業務改革のその先に得たもの
-
6
「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略
-
7
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
8
ソフトウェア開発の属人化と手戻りをどう防ぐ? 速さと品質を両立させる方法
-
9
AI活用を停滞させる「2:6:2の壁」を乗り越えるためのポイントとは?
-
10
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー