エンジニア調査に見る「責任の境界線」
ITエンジニア1265人調査 生成AIを使い込むほど「人の確認」が重い理由
スーパーソフトウエア東京オフィスは、ITエンジニア1265人を対象に生成AIの業務利用について調査した。その結果、生成AIの利用が進むほど、人による確認や判断の重要性が高まる実態が明らかになった。
生成AIを全社導入すれば、コードの作成や調査、資料作成にかかる時間は減らせる。一方で、AIが作った成果物が正しいかを確認し、品質や安全性を判断する業務はなくならない。むしろAIを使い込むほど、「人による確認」の重要性を感じる人は増えるようだ。
スーパーソフトウエア東京オフィスがITエンジニア1265人を対象に実施した調査では、生成AIをほぼ毎日利用する人の62.6%は、「AIの出力が正しいか確認すること」の重要性が増したと回答した。
この結果は、単に「AIを導入すれば作業工数はAIの出力の確認のみになる」という話ではない。生成AIの全社利用を進める情報システム部門にとっては、AIに任せる業務と、人が必ず確認する業務の境界をどう設計するかが、次の課題になる。
確認業務の境界、どう設計すれば
調査によると、業務で生成AIを「ほぼ毎日」利用している人は30.2%、「週に数回」は33.4%、「月に数回」は12.3%だった。合計すると、現在生成AIを利用している人は960人で、全体の75.9%を占めた。
生成AIを使うことで、業務時間を短縮できたという効果も調査結果から見えてきた。生成AIを現在利用していると答えた960人の97.5%は、少なくとも1つの業務で「時間が減った」と回答した。
時間が減った業務で最も多かったのは「エラー原因の調査」の44.1%だった。以下、「技術調査」が36.4%、「コード作成」が36.2%、「ドキュメント作成」が33.3%と続いた。
つまり、生成AIはエンジニアが従来時間を費やしてきた調査や作成作業を代替、支援する効果を既に発揮していることが分かる。
AIを使うほど「確認する仕事」が重要になる
一方調査からは、生成AIの利用が増えることで、新たに重要になる業務があることも分かった。「AIの出力が正しいか確認すること」の重要性が増したと回答した回答者は、生成AIをほぼ毎日利用すると答えた人全体の62.6%を占めた。週に数回利用する人では35.8%、月に数回では19.9%だった。つまり、生成AIの利用頻度が高いほど、人による確認の重要性を実感しているということだ。
AIが作業時間を短縮する一方、人の仕事は「自分で作る」ことから「AIが作ったものを評価する」ことへ移りつつあると考えられる。
毎日利用者の96.9%「最後は人が責任を持つ」
この傾向は、「誰が最終責任を持つか」という質問にも表れていた。調査では、「生成AI時代でも、最終的に人が責任を持つべき仕事がある」と回答した割合は全体で91.5%だった。
利用頻度が「ほぼ毎日」と「週に数回」の利用者では、「生成AI時代でも、最終的に人が責任を持つべき仕事がある」と回答した割合はともに96.9%、「月に数回」は96.2%だった。一方、生成AIを利用した経験がない人では60.6%にとどまった。
つまり、ほぼ毎日利用する人と未利用者との差は36.3ポイントになる。生成AIを実際に使い込んでいる人ほど、「AIに任せても最後は人が責任を持つ必要がある」と認識していることが示唆されている。
人が責任を持つべき仕事を尋ねた質問では、最も多かった回答は、「AIが作ったコードや資料の正しさを確認すること」で39.9%だった。
続いて「品質や安全性を判断すること」が30.7%、「設計方針を決めること」が25.2%、「顧客や利用者に内容を説明すること」は24.0%だった。
生成AIによってコード作成や資料作成そのものを省力化できても、「正しいか」「安全か」「この設計でよいか」を判断し、その結果を説明する仕事は人に残るということだ。
全社導入前に決めたい「どこまで人が確認するか」
情シス部門が生成AIを全社展開する際は、利用可能なAIツールや禁止事項だけでなく、「どの業務では人の確認を必須にするか」までルール化する必要がある。
例えば、社内向けの文章の下書きと、顧客に提示する資料では、求められる確認水準は異なる。プログラムコードでも、検証用の簡単なスクリプトと、本番環境で動かすシステムではインシデントが発生した場合の問題の大きさは異なる。
全てのAI出力を一律に厳しく確認すれば、生成AIによる効率化効果を打ち消しかねない。一方、人による確認を省き過ぎれば、誤情報や品質低下、セキュリティ事故につながる恐れがある。
そのため、情シス部門は業務のリスクに応じて、「AIだけで完結してよい業務」「人による確認が必要な業務」「専門家や責任者の承認まで必要な業務」といった区分を設けることが考えられる。
本稿は、スーパーソフトウエア東京オフィスが2026年9月11日に公開した【ITエンジニア1,265人調査】生成AIを使い込んだ先に見えたのは「最後は人」―毎日利用者の96.9%が「人が最終責任を持つ仕事がある」と回答を基に作成しました。
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