AI人材育成に役立つ9つのプログラム
無課金から要課金まで AIの基本や応用がマスターできる“学習コース”9選
業務へのAI活用を推進するだけでなく、従業員がAIの知識を学ぶための機会作りも情シスの重要な業務だ。本稿は、従業員の知識レベルや職位別にAIについて学べる講習を9つ用意した。
生成AIやAIエージェントの業務利用が広がる中、情報システム(情シス)部門には、AIを「導入する」だけでなく、使いこなせる人材をどう育てるかという課題も生まれている。では、AI人材の育成を始めるには、どのような資格や講座を選べばよいのか。
米TechTargetは、2026年に注目すべきAI関連の資格・講座として9つのプログラムを紹介している。ただし、企業が研修を選ぶ際は、「どのような知識を持った従業員を対象にしているのか」「学んだ知識をどのように生かしてほしいのか」といった観点で研修の内容を精査してほしい。
例えば、AIモデルを実装するエンジニア向けの講座もあれば、AIプロジェクトを管理する経営層向けの講座もある。プログラミング未経験者から受講できるものがある一方、大学レベルの数学や数年間の技術経験を前提とするプログラムもある。費用についても、無料で受講できる講座から、数千ドル規模になる専門プログラムまで幅がある。
TechTargetが挙げた資格・講座は、大きく「経営・企画」「AI活用の入門」「AI開発・専門人材」の3つに分けて考えると選びやすい。
経営層やAI推進担当者が学ぶなら
AIそのものを開発するのではなく、「自社でAIをどのように使うか」を考える人材向けなのが、カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の「Artificial Intelligence: Business Strategies and Applications」だ。
AI開発の方法ではなく、AIの能力や用途、リスク、機械学習、ディープラーニングなどを学びながら、AIチームの作り方やAIプロジェクトの管理方法を扱う。主な対象は経営幹部、シニアマネジャー、事業部門責任者などだ。
受講料は3050ドル。オンラインで2カ月間、週4~6時間程度の学習を想定している。
AI施策を主導するCIOやDX(デジタルトランスフォーメーション)推進部門、情シスの管理職にとっては、モデル開発の詳細を学ぶというより、「技術部門と会話できる知識を身に付ける」ための選択肢になる。
AI初心者から業務アプリ開発まで学ぶなら
比較的入り口を広く設けているのが、Courseraが提供するIBMの「IBM AI Developer Professional Certificate」だ。
期間は約6カ月。全10コースで構成され、AIの基礎だけでなく、生成AI、プロンプトエンジニアリング、Web技術、AIアプリケーション開発まで学ぶことができる。プログラミング経験がない学習者向けにPythonの入門もある。
CourseraのProfessional Certificateはサブスクリプション方式で提供されるため、総額は受講期間によって変わる。受講時には、Courseraが表示する月額料金や「Coursera Plus」の対象状況を確認する必要がある。
一方Google Cloudの「Beginner:Introduction to Generative AI」は、生成AIや大規模言語モデル(LLM)の基礎を初心者向けに学ぶプログラムだ。「Vertex AI」などGoogleの技術を利用し、責任あるAIについても扱う。前提知識は設定されていないため、Google Cloudを利用している企業が従業員向けに教育を始める際には候補になり得る。
Google Cloudの「Introduction to Generative AI」単体は無料で受講できる。Google Cloudは同講座を含む生成AIの基礎学習コンテンツを無償で提供している。
AI開発者を育成するなら大学レベルの知識も必要
一方、本格的にAIモデルやAIアプリケーションを開発する人材を育てる場合、必要な前提知識のレベルは一気に高くなる。
スタンフォード大学(Stanford University)School of Engineeringの「Artificial Intelligence Graduate Certificate」は、機械学習、ロボティクス、自然言語処理(NLP)、確率モデル、知識表現などAIの基礎技術を幅広く扱う。
受講には学士号に加え、大学レベルの微積分や線形代数、確率論、プログラミングなどの知識が求められる。
マサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)の「Professional Certificate Program in Machine Learning and Artificial Intelligence」もエンジニア向けだ。コンピュータサイエンス、統計、物理、電気工学などで3年以上の経験を持つ専門家を主な対象とし、機械学習や予測モデリングなどを学ぶ。
ディープラーニングやTensorFlowを重点的に学ぶ選択肢も
特定分野を深く学びたい場合は、より専門的な講座もある。スタンフォード大学の元教授でAI教育の第一人者であるアンドリュー・ン氏はCourseraの「Deep Learning Specialization」で講師を務める。同講座では、5つのコースを通じてニューラルネットワークやディープラーニングについて学ぶことができる。受講には中級程度のPythonの知識や基礎的な線形代数、機械学習の知識が必要だ。
「Introduction to TensorFlow for Artificial Intelligence, Machine Learning and Deep Learning」では、機械学習用ソフトウェアライブラリ「TensorFlow」を使ったニューラルネットワークやコンピュータビジョンなどを学ぶことができる。高校レベルの数学とPythonの経験を持っていることが前提だ。機械学習やディープラーニングの事前知識は必須ではない。
AIエージェントや強化学習まで学べる講座も
AIエージェントや生成AI、強化学習など、近年注目を集める技術を幅広く扱うのが「Artificial Intelligence A-Z 2026:Agentic AI, Gen AI, and RL」だ。LLMや「LoRA」(既存の大規模AIモデルに対して低ランク行列を追加することで軽量にファインチューニングする手法)、量子化(AIモデルの重みなどの数値精度を落とすことで、モデルサイズや計算コストを削減する技術)、強化学習アルゴリズムのQ-Learning(Q学習)やProximal Policy Optimization(PPO)、深層学習モデルの「Transformer」などを学べる。倉庫フローの最適化やLLMを使ったAIエージェントの構築などの演習もある。必要なのは高校レベルの数学と基本的なPythonの知識だ。
より専門職としての能力を証明したい人向けには、AI分野の専門家認定や教育促進を目的とする米国の非営利団体ARTiBAの「Artificial Intelligence Engineer Certification」もある。機械学習、教師あり・教師なし学習、強化学習、ニューラルネットワーク、NLP、ディープラーニングなどを広く扱う。
Artificial Intelligence Engineer Certificationは、学歴や実務経験に応じた3つの応募区分を用意している。学士号や修士号を持つ技術者向けだけでなく、AIや機械学習のシステムを開発、展開してきた経験者向けの認定ルートも用意されている。
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