IEEE 802.11axは何をもたらすのか(後編)
いつIEEE 802.11axにアップグレードすべきか
802.11axは5Gと競合するのか。企業は急いでネットワークを802.11axにアップグレードすべきなのか。802.11ax導入の展望を紹介する。
前編( Computer Weekly日本語版 2月6日号 掲載)では、無線ネットワークが抱える課題と「IEEE 802.11ax」の仕様について解説した。
後編では、5Gとの関係、802.11axにアップグレードすべき時期などについて解説する。
補完ネットワーク
802.11axは5Gモバイル通信と競合すると見る向きもあるかもしれない。だが、補完ネットワークと表現する方が正確だろう。どちらも特有の利点があり、最適に機能する環境が異なる。
とはいえ、一方が優れているユースケースもある。例えば5Gは通信事業など大容量が求められる業界に最適だが、干渉の影響も受けやすい。
「端末は起動した瞬間に無線環境内の障害物の影響を受け、5Gサービスが不安定になる」(バフペティック氏)
802.11ax(Wi-Fi Allianceは「Wi-Fi 6」と呼称)はWPA3導入の道を切り開くだろう。
WPA3は、オープンなWi-Fiネットワークのセキュリティを強化する。Wi-Fiホットスポットの多くがオープンで暗号化されていなかったが、WPAは256bit AESを使用してインタフェースを暗号化できる。
「当社は、サービスプロバイダーとして全世界で約6500万のホットスポットを統合し、VPNで無線インタフェース暗号化を実現する。だが誰もが802.11axを使えば全員がAES暗号化のメリットを利用できる」(バフペティック氏)
802.11axの主なメリットの一つは、技術を置き換えるのではなく、技術のアップグレードであることだ。802.11axの機能を最大限に生かすため、企業は既存のネットワークインフラを置き換えたり、サービスの管理方法を変えたりする必要はない。単純に既存の無線ネットワーク構造で機能する。
802.11axの機能強化を受け、多くの企業が802.11ax機器のいち早い導入を考える可能性がある。これは、特定のシナリオでは妥当なハードウェア戦略になるかもしれない。だが基本的には、既存のハードウェアスケジュールを維持し、ライフサイクルが終了したら802.11ax機器にアクセスポイントをアップグレードすることを推奨する。
「アップグレードのためにライフサイクルを切り上げる企業はないだろう。だが普及が進んでいく中で、予算が許せば802.11axへのアップグレードが行われると予想される」と同氏は話す。
もちろん、機器が802.11axの認証を受けるまで802.11axネットワークのメリットは完全には感じられないだろう。802.11axは2018年7月にIEEE委員会で承認されるまでに2バージョンの規格の草案が却下され、遅延を余儀なくされた。
いったん規格が承認されれば、認証済みの機器が企業環境に普及し、ネットワークは802.11axへのアップグレードを開始するだろう。スタンレー氏によると「承認は2020年の第1~第2四半期に下り、製品は2019年に市場に出ると予想される」という。
802.11ax準拠の機器が最初から存在するわけではないため、サービスプロバイダーが投資サイクルを早める必要はない。だが規格は少しずつ浸透すると予想され、技術は段階的に広がっていくだろう。
結局のところ802.11axは、多数のアクティブなネットワーク接続端末が同時に存在する、密度の高い環境において最もメリットを発揮する。向上した空間効率と、複数のユーザーアクセスポイントが最大限に活用されるのはこうした環境だ。
「802.11axは、次世代無線サービスでWi-Fiが主流になるのを後押しするだろう」とバフペティック氏は締めくくった。
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Computer Weekly日本語版
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