新たなSSDの道を開拓?【中編】
232層のTLC「新SSD」がまさかの“QLC超え”の真相
SSDでより多くのデータを保管しやすくする技術として、企業は「QLC」に関心を寄せている。Micronが新たに発表したSSDは、QLCではなく「TLC」だが、同等の利点が見込めるという。それはなぜなのか。
企業がデータセンターで「SSD」を使う場合に求めることは、もはや読み書き性能の速さばかりではない。より多くのデータを、より低コストで保管する用途としても、SSDは重要になりつつある。その点で、企業が関心を寄せるのは、記録方式「QLC」(クアッドレベルセル)だ。
Micron Technologyが新たに発表したSSDについては、別の見方をしなければならない。そのSSDは、記録方式に「TLC」(トリプルレベルセル)を使っている。ある点ではQLC同等、ある点ではQLC以上の利点が見込めるという。どのような理屈なのか。
QLCではなく「TLC」のSSDがなぜ“すごい”のか
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Micronが2023年5月に発表した、データセンター向けの新SSD「Micron 6500 ION NVMe SSD」(以下、Micron 6500 ION)は、最大容量が30.72TBだ。NAND型フラッシュメモリの記録方式はTLCとなっている。インタフェース規格には「PCI Express 4.0」(PCIe 4.0)を採用している。Micron 6500 IONはQLCと同等の価格水準を実現しつつ、IOPS(1秒間に処理する入出力数)の性能は一般的なQLCを上回ると、同社は説明する。
TLCとは、1つのメモリセルに3bitを格納する記録方式。QLCとは、1つのメモリセルに4bitを格納する記録方式だ。
企業は読み書き性能の高さを必要とするアプリケーションだけではなく、さまざまな用途にSSDを使うようになっている。中には書き込み性能の高さは求めず、読み出しができればいい用途もある。他の記録方式に比べてコスト効率が高まりやすいQLCは、そうした用途に使える。Micron 6500 IONは、それと同等の特性を持たせたと言える。
一方で書き込み性能や耐久性で見ると、QLCにはまだ課題がある。メモリセル当たりの記録密度が高くなるほど、書き込み速度が遅くなる。その上、NAND型フラッシュメモリの摩耗が早まり、耐久性が低下する懸念があるのだ。この点では、一般的にはQLCよりもTLCが優れている。
TLCでありながら、QLC同等のコスト効率を実現したというMicron 6500 IONの特徴の一つは、メモリセルの積層数が232層になったことだ。調査会社IDCのリサーチ担当バイスプレジデントであるジェフ・ヤヌコビッチ氏は「200層に到達することで、容量単価の低下が見込める」と語る。これはTCLからQLCになることで記録密度が高まり、容量単価が下がりやすくなるのと同じ理屈だ。
一般的に言って、積層数が多くなるほどコスト効率の向上が見込める。Micronは「232層のTLCは、144層のQLCよりも費用対効果に優れる」と主張している。
調査会社Gartnerのリサーチ担当バイスプレジデントであるジョー・アンスワース氏も、注目するのは積層数だ。「データセンター向けのSSDとして200層超になったのは、Micron 6500 IONが初めてだ。これは価格面で優れる」とアンスワース氏は語る。
Micron 6500 IONの利点の一つはコスト効率だと言えるが、ユーザー企業がSSDに求めるのはもちろんそれだけではない。読み書き性能の高さを重視する用途向けとして、MicronはMicron 6500 IONと同時に「Micron XTR NVMe SSD」を発表した。このSSDは、1つのメモリセルに1bitを格納する記録方式「SLC」(シングルレベルセル)を採用している。
後編は、Micron XTR NVMe SSDの用途を考える。
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