AI時代の「RPA」の行方【前編】
もはや「RPA」という言葉が“オワコン”なのはなぜか
主要RPAベンダーが自社ツールに生成AIを組み込む中で、対抗するスタートアップ企業は「RPAの飛躍的な進化」を実現しようとしている。RPA市場に何が起きようとしているのか。
テキストや画像を自動で生成する人工知能(AI)技術「生成AI」は、さまざまなソフトウェアに組み込まれるようになった。その影響は、「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)の領域にも及んでいる。そうした中でRPAが時代遅れになりつつあるという見方が強まっている。どのような変化が起きているのか。
「RPA」はもうオワコン?
Automation Anywhere、Blue Prism、UiPathをはじめとする主要RPAベンダーも、自社ツールに生成AI機能を取り入れている。一方で、生成AI技術を用いてこれらのベンダーに対抗しようとするスタートアップ企業もある。
Orby AIはRPAの進化に挑むスタートアップ企業だ。Orby AIは2022年、UiPathの元プロジェクト管理担当ディレクターであるベラ・リウ氏と、Googleの元エンジニアリング責任者ウィリアム・ルー氏によって設立された。同社が提供するLAM(大規模アクションモデル)プラットフォーム「ActIO」は、請求書や契約の処理、従業員の経費の監査など、ビジネスプロセスの生成に役立つ。
LAMは、2023年半ばに誕生した比較的新しい技術だ。LAMでは、「ニューロシンボリックプログラミング」を使用している。これは、LLMの基盤となる「ニューラルネットワーク」(人間の脳の神経回路を模倣したもの)と、シンボリックAI(ルールや論理を使った推論型のアプローチ)を組み合わせたAI技術だ。単に情報を処理するだけではなく、特定のアクションを定義して、実行条件や方法をモデル化できる。これによって、複雑なプロセスの自動化が可能となる。
Orby AIが提供するツールは、「大規模言語モデル」(LLM)ではなく、LAMをはじめとする複数の生成AIを活用している。LLMがテキストや画像、音声を生成するのに対し、LAMはプロセスを生成する。さらに、AIエージェントを用いて、自律的にプロセスを実行させることもできる。
2024年6月、Orby AIは3000万ドルを調達し、資金調達が総額3450万ドルに達したことを公表した。さらに、大規模なテストユーザーを獲得し、市場進出に向けた準備を進めている段階だ。
「RPA」はもはや時代遅れなのか
大手RPAベンダーは、盤石な顧客基盤を持つため、自社ツールに生成AI機能を迅速に組み込むことが可能だ。しかし、既存のシステムはしばしば硬直的で、Orby AIが市場にもたらすような大きな変革は起こせない。こう指摘するのは、Enterprise Strategy Group(ESG)のアナリストであるマイク・レオーネ氏だ。
Orby AIは、「RPA」という用語をほとんど使わない。なぜなら1990年代から存在するRPAは、もはや時代遅れの用語だと考えているからだ。「他のRPAベンダーとひとくくりにされたくない」という思いもあるという。
レオーネ氏は、「Orby AIにとっての最大の課題は、同社の技術がRPAと結び付けられてしまうことだ」と説明する。Orby AIのツールは、従来型RPAとは異なるシンプル性と知能を備えている。それでもRPAに対する失望感から、そのネガティブなイメージを拭えない顧客も存在する。
次回は、LAMの導入事例を紹介する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー