Adobeの社内業務は「RPA」や「AI技術」でどう変わったのか? CIOに聞いたAdobeが注視する“これからの技術”【中編】

Adobeのシンシア・ストッダード氏は、同社のCIOとしてRPAやAI技術の導入などさまざまな施策を統括している。その取り組みをどのように進めているのか。ストッダード氏に聞いた。

2023年10月26日 07時00分 公開
[Mark SamuelsTechTarget]

関連キーワード

CIO | RPA | クラウドサービス | 人事


 画像やPDFファイルの編集ソフトウェアのベンダーとして知られるAdobeの最高情報責任者(CIO)シンシア・ストッダード氏は、注力する取り組みの一つに従業員エクスペリエンス(業務における従業員の体験や経験)の向上を挙げる。「Adobeには、多種多様なツールやサービスをテストして導入するための土壌がある」とストッダード氏は語る。「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)の導入は、同氏の功績の一つだ。

 ストッダード氏は2021年、RPAベンダーUiPathの協力を得て、RPAの導入と活用について調査した。その時点で同氏は、RPAといった自動化ツールだけでなく、機械学習をはじめとしたAI(人工知能)技術の重要性も認識していた。RPAやAI技術は、AdobeにおけるITの活用にどのような影響をもたらしたのか。

自動化技術の導入がAdobeにもたらした変化

会員登録(無料)が必要です

 一連の取り組みの目的は、全従業員の業務効率化につながる有用な技術を提供することだという。RPAの活用において、Adobeはまず請求書や発注書の処理を対象業務に選定した。「RPAをどのように使えば役に立つかに重点を置いた」とストッダード氏は説明する。

 その後、Adobeが重要視する観点は、AI技術と自動化を業務にどう当てはめるかに移った。「機械学習などのAI技術を使った取り組みを、さまざまな分野や製品のサポート業務に拡大している」とストッダード氏は説明する。高度な分析に少しずつ着手したいと考える従業員から、複雑な作業に取り組むデータサイエンティストまで、多種多様な考えを持つ従業員の要望に応えるための利用環境作りを進めているという。

 Adobeはノーコード/ローコード開発ツール群「Microsoft Power Apps」も使用している。ストッダード氏はMicrosoft Power Appsについて「営業部門の運用担当者の間で人気だ」と評価する。営業部門の運用担当者は簡単なアプリケーションを自ら作成できるようになった。「シチズンデベロッパー」(ITを専門としない開発者)向けガイドラインを社内で用意しており、「それがうまく機能している」という。


 後編は、Adobeの従業員を支えるに当たり、ストッダード氏が何を重視しているのかを紹介する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

事例 双日テックイノベーション株式会社

事例に学ぶ、ワークスタイルに合わせたコミュニケーションツール刷新の取り組み

コミュニケーションツールを時代の要請や社員のニーズに合わせて進化させることは、重要な取り組みとなっている。本資料では、Web会議ツールを軸とする定番プラットフォームのソリューションをフル活用した企業の事例を紹介する。

製品資料 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

クラウドへの移行を成功させるには? 4つのフェーズのフレームワークを解説

生成AIの導入や業務の俊敏化を背景に、クラウドへの移行を進める企業が増えている。しかし、大量のデータが含まれる既存のワークロードの移行には、慎重な計画が必要だ。本資料では、4つのフェーズに基づき、移行成功の要点を解説する。

製品資料 SUSE ソフトウエア ソリューションズ ジャパン株式会社

複雑化を競争優位性に転換する、マルチLinux戦略の運用ガイド

技術が発展し、ユーザーニーズが多様化する中で、多くの企業は単一Linuxディストリビューションによる運用から、複数プラットフォームの運用にシフトしている。一方で課題も顕在化しており、この混在環境とどう向き合うかが問われている。

製品資料 ServiceNow Japan合同会社

リスク管理やコンプライアンス対応の成熟度を高める、最新化フレームワークとは

リスク管理やコンプライアンス対応の取り組みを進めることは、多くの企業にとって重要だ。しかし、どのような手順で取り組みを進めればよいのか分からないという声も多い。そこで本資料では、5つのステップに分けて、詳しく解説する。

事例 ServiceNow Japan合同会社

Uberなど10組織の事例に見る、「リスク&コンプライアンス管理」の実践法と効果

昨今、リスクおよびコンプライアンス管理業務の重要性が高まっているが、現状では多くの組織で成果を挙げられていない。Uberでは、ある統合リスク管理ソリューションを導入し、課題解決を図った。同社をはじめ10組織の事例を紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...