AIでは一番乗りより“熟考型の企業”が成功する? 欠かせない視点とは責任あるAI利用とは【第4回】

さまざまなベンダーがすぐに利用可能なAIツールを提供しており、AI技術は企業にとってより身近になりつつある。だが取り組みを急いではいけない。LLMの利用や開発に着手する際にまず検討すべき点とは。

2023年10月26日 07時00分 公開
[Brian McKennaTechTarget]

関連キーワード

人工知能 | プライバシー


 さまざまなベンダーがすぐに使用可能なAI(人工知能)ツールを提供しており、その便利さに飛び付く企業がある。だが取り組みを急ぐことが正しいとは限らない。より思慮深く動く方が賢明なこともある。「大規模言語モデル」(LLM)の利用や開発に関心を持つ企業は、まず何を検討すればよいのか。

LLMに飛び付くよりも重要なこと

 LLMを導入する企業は、「責任あるAI」(AI技術を利用する際に公平性や透明性、安全性の確保を考慮すること)の視点を忘れてはならない。責任あるAIを実践するためのポイントを2つ紹介する。

1.ツールの透明性を確保する

 企業はLLMを基にしたAIツールをユーザーに提供する際、透明性を確保する必要がある。ユーザーがやりとりしている相手がLLMであることや、ユーザーが受け取る情報はLLMが作成したものであることを明示することが欠かせない。

 LLMがトレーニングに使用したデータの種類についても透明性を確保することで、出力結果に対する信頼性を高めることができる。データ収集から統合、分析までの一連の流れを一本化した「データパイプライン」の詳細を公開することを検討してもよい。

2.フィードバックシステムを提供する

 AIツールのユーザーに対して、フィードバックの仕組みを提供することが不可欠だ。回答に誤りがある場合、もしくは回答が有害な内容を含んでいたり、役に立たない内容だったりする場合、ユーザーが報告できるような仕組みを整備する。そのフィードバックを基に、開発者はAIモデルを改良できる。

 責任あるAIの枠組みに沿ってLLMの開発や導入を進めることが面倒だと感じる企業もあるだろう。だがビジネスにおいてAI技術の活用を成功させる企業は一番乗りで活用を急ぐ企業ではなく、責任ある方法で利用を進める企業であることを忘れてはならない。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

製品資料 東京エレクトロン デバイス株式会社

生成AI活用の鍵、セキュリティと利便性を両立するための方法とは?

生成AIの活用には機密情報漏えいなどのリスクがあるため、利用を制限しているケースもある。しかし、完全に利用を制限してしまうと競合に後れを取る可能性がある。そこで重要なのが、セキュリティと利便性を両立できるような環境構築だ。

製品レビュー ストックマーク株式会社

AI技術を使って必要な情報を自動で抽出/要約する「情報収集サービス」の実力

日々情報が増え続ける今、業務に必要な全ての情報を、社内外の関連ニュースや論文、特許情報などから収集していくのは至難の業だ。そこで業務に必要な情報を着実に届けるための仕組み作りに役立つサービスを紹介する。

製品資料 ゼットスケーラー株式会社

セキュリティリーダー必見:データセキュリティの複雑化によるリスクの解消方法             

クラウド利用の拡大に伴い、データが分散・肥大化する中、従来のセキュリティ対策の限界が見え始めている。データの所在や利用状況を可視化し、リスクを事前に把握して対応することが求められる今、有効となる新たなアプローチを探る。

市場調査・トレンド ゼットスケーラー株式会社

AI/MLトランザクション分析から読み取る、企業のリスク管理とセキュリティ課題

AIの活用が急速に進む一方で、セキュリティリスクの増大が懸念され、企業の対応が急務となっている。本資料では、2024年2~12月までの5365億件のAI/ML(機械学習)トランザクションの分析に基づき、その実態と対策を多角的に考察する。

事例 富士通株式会社

富士通が実践、AI時代に最適な設計プロセスを実現する方法

製造業の設計現場では、設計プロセスの複雑化などの課題が山積している。こうした中、注目を集めているのが生成AIの活用だ。本資料では、生成AIがもたらす設計業務の未来について、詳しく解説する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...