「ChatGPT」をはじめとするAIツールのリスクを懸念し、対策を講じる動きが世界中で広がっている。AI技術の安全な利用に向けて、各国政府はどのような措置を講じるのか。
AI(人工知能)ベンダーOpenAIの「ChatGPT」をはじめとする生成AI(テキストや画像などを自動生成するAI技術)ツールの活用が企業の間で広がっている。それと同時に浮上しているのが、生成AIツールの使用が引き起こすプライバシー侵害といった懸念だ。生成AIツールの規制を検討する各国政府の動きが加速している。
2023年3月、イタリアのデータ保護規制局GPDP(Garante per la Protezione dei Dati Personali)は、生成AIによるプライバシーの侵害について懸念を表明し、国内におけるChatGPT使用を禁止。OpenAIがGPDPの提示する対策を講じた場合、禁止措置を一時的に解除すると発表した。その後GPDPは、OpenAIが改善策を実施することと引き換えに規制を解除した。
フランス政府はChatGPTの使用が引き起こすリスクについて調査を進めている。欧州データ保護委員会(EDPB)は2023年4月、ChatGPTを含む生成AIツールがプライバシーを侵害するリスクについて検証するタスクフォースを設置した。
米国では、ホワイトハウスがAI技術のリスクについて情報収集を進めている。2023年4月、米国商務省電気通信情報局(NTIA)は以下の項目について意見や情報を一般市民から公募すると発表した。集めた情報は、ジョー・バイデン政権のAIリスク対策に関する政策に反映するという。
米国商務長官補佐アラン・ダビッドソン氏は、「責任あるAI(公平性や透明性、安全性の確保を考慮したAI開発)は社会や企業に大きなメリットをもたらすが、それは潜在的な害に対処している場合に限る」と指摘する。
2023年4月時点で、米国はAI技術の規制実施には踏み込んでいない。一方でホワイトハウスは2022年に、国民の権利を守ることを目的に、AI技術の倫理的な活用に関するガイドラインである「AI権利章典の草案」(Blueprint for an AI Bill of Rights)を公開している。
ChatGPTをはじめとする生成AIツールの使用場面は今後も広がる見通しだ。最高情報責任者(CIO)は規制の動向に絶えず目を光らせる必要がある。調査会社Gartnerでアナリストを務めるネーダー・エナン氏は、「深く考えずに便利な生成AIツールに飛び付くのは危険だ」と警告する。
中編は、大規模言語モデル(LLM)を使用する企業が抱えるリスクについて、具体的に紹介する。
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