開発や運用における「生成AI」の実力【第5回】
ChatGPTを使うのか、独自LLMを作るのか どちらが賢い選択?
「ChatGPT」をはじめとする生成AIの登場で、エンジニアの仕事は消えるという懸念が広がっているが、それは早まった見方だ。より賢く見るには、生成AIの現状を見極める必要がある。
AI(人工知能)ツールベンダーOpen AIの「ChatGPT」をはじめとする生成AI(テキストや画像などを自動生成するAI技術)ツールが普及する事態を受けて、生成AIが人間の仕事を奪うのではないかという懸念が広がった。その見方は時期尚早と言わざるを得ない。AIモデルをトレーニングするためのツールを提供するAnyscaleの共同創設者兼CEOロバート・ニシハラ氏は、「AI技術がエンジニアを完全に代替する事態は、少なくとも今後5年間は起きない」と話す。
だが、企業が生成AIなどのAI技術を使う動きは止まりそうにない。生成AIの現状を踏まえて、どうすれば企業はより賢く生成AIに関わっていけるのかを考えてみよう。
ChatGPTと独自LLM、賢い選択はどっち?
併せて読みたいお薦め記事
連載:開発や運用における「生成AI」の実力
- 第1回:ChatGPTだけじゃない「生成AIブーム」を生んだお役立ちツール
- 第2回:“生成AIが仕事を奪う”なんて話より大事な「IaC」や「SRE」に何が起きるのか
- 第3回:生成AIで「オブザーバビリティ」「レジリエンス」はどう変わる?
- 第4回:「生成AI」でスキルギャップ解消 その先に必要なのは?
開発とAIに関する記事
AIモデルをトレーニングする際、一般的には人間が一連の方法や手順を教える。この教師としての役割を、生成AIが担うには至っていない。
調査会社Constellation Researchでアナリストを務めるアンディ・トゥライ氏によると、生成AIのハイプサイクル(成熟度や採用度で図る技術のライフサイクル)はまだ始まったばかりだ。そのため、大規模言語モデル(LLM)のトレーニングやメンテナンスに関する課題はまだ明確になっていないという。
LMMのトレーニングには、通常は大量のデータやインフラリソースが必要になる。トゥライ氏は、ほとんどの企業はLLMをトレーニングするのに十分なデータを持っていないと指摘する。LLMのトレーニングが可能なのは、GoogleやMicrosoft、Amazon Web Serviceといったハイパースケーラー(大規模データセンターを運営する事業者)に限られる、と同氏は捉えている。
ChatGPTのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)「ChatGPT API」といったサービスを使えば、LLMとシステムを比較的容易に連携できる。一方で、アプリケーション用に新しいLLMを開発する場合は、かなりのコストがかかるとトゥライ氏は指摘する。
例えば、ソースコードでインフラの構成を管理する「IaC」(Infrastructure as Code)のテンプレートを生成できるようにLLMをトレーニングした場合、投資額が成果物に見合わない可能性がある。「わざわざ自力でLLMをトレーニングする意味はあまりない」とトゥライ氏は話す。
第6回は、開発者やエンジニアとAI技術の力関係の変化について解説する。
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