生成AIは、IT運用のスキルギャップ解消に具体的にどのように役立つのか。スキルギャップが解消された際に重要となるのはどの要素なのか。
機械学習といったAI(人工知能)技術は、システム運用ではインシデント対処をはじめとしたさまざまな業務に使用され始めている。特に今後、目覚ましい活躍が期待できるのが、AI技術を使ってテキストや画像などを自動生成する「ジェネレーティブAI」(生成AI)だ。
「生成AIを使うことで、チャットや音声通話、その他の自然言語コミュニケーションなど非構造化データの分析を強化できる」。こう話すのは、AIモデルをトレーニングするためのツールを提供するAnyscaleの共同創設者兼CEOであるロバート・ニシハラ氏だ。Anyscaleは、AIベンダーOpenAIが開発した「大規模言語モデル」(LLM)「GPT-4」のトレーニングにも携わっている。
ニシハラ氏は一例として、電話営業の録音データの分析を挙げる。分析に当たり、音声通話データを再生する必要はない。「なぜこの顧客は当社のサービスを選んだのか」もしくは「なぜこの顧客は競合他社に流れたのか」といった質問を生成AIに投げ掛けるだけでいいという。この手法は、セキュリティインシデントやソフトウェアバグといった問題の追跡にも適用できる。
「AIツールが進化すれば、専門知識や技術スキルを持たない人でも専門的な作業をこなせるようになり、技術的なスキルギャップ解消につながる可能性がある」とニシハラ氏は話す。将来的には技術的なスキルより、生成AIに対して適切な質問ができるかどうかが重要になる、というのが同氏の見方だ。
第5回は、エンジニアと生成AIの関係性について解説する。
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