ネットワークの分野では消費電力量削減への関心が強くなっている。一般的に無線LANは有線LANよりも消費電力量を抑制しやすいが、実際に削減できるかどうかは状況によって変わる。
近年、消費電力量の削減は家庭においても企業においても関心が高まっている。大企業においては、無駄な照明や空調の使用を省くことで電力消費を抑えようとエネルギー管理チームを設置したり、その機能を外部に委託したりする動きがある。
ネットワークの電力消費はどうだろうか。LANにおいて、無線LANと有線LANはどちらが電力を節約できるのか。節電と耐障害性はどちらを優先させればいいのか。これらはネットワークによって正解が異なり、単純ではない。
以下の2つのシナリオに分けて、無線LANでエネルギー消費を削減できるのかどうかを考えていこう。
200台のPCと、1台のプリンタがあるオフィス環境を考えてみよう。この数のデバイスを収容するには7台のネットワークスイッチが必要だ。全てのPCをデスクトップではなくノートPCにすれば、無線LAN規格「Wi-Fi 5」を利用できる無線LANアクセスポイント(AP)なら6台で収容でき、5台のネットワークスイッチが不要になる。この場合、一般的にネットワークスイッチの消費電力はAPより大きいため、エネルギーを節約できる。
ただし残り2台のネットワークスイッチは、LANケーブルを介して電力を供給する規格の「PoE」(Power over Ethernet)準拠のモデルにする必要がある。PoE準拠のネットワークスイッチに移行した場合、最終的に消費電力量を節約できるかどうかは、以前のネットワークスイッチを使った場合の消費電力量と比較しなければ分からない。
ある企業は、オフィス内ネットワーク機器のモダナイゼーション(最新化)に取り組んだ。人員削減とテレワークの導入により、300台のデスクトップPCを100台のノートPCに変更。以下の機器をオフィスに導入した。
このオフィスは結果的に、ネットワークスイッチは減ったがネットワーク全体の消費電力量は増えてしまった。無線LANは消費電力量を削減できることもあるが、それぞれの利用環境で同時に起こっている他の変化によって、削減できないこともある。
後編は耐障害性という観点で無線LANと有線LANの電力を比較する。
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