人間の仕事は生成AIに置き換わるのではないかという懸念が広がっている。生成AIは開発者や運用担当者の仕事をどう変える可能性があるのか。
AI(人工知能)技術を使ってテキストや画像などを自動生成する「ジェネレーティブAI」(生成AI)の技術進歩により、開発者や運用担当者の仕事が生成AIに取って代わられるのではないかという不安が広がっている。生成AIはこれまで人間が実施していたコーディングを担えるようになり、一部のアナリストは「近い将来、テストケースの作成といった開発業務の一部を生成AIが担うようになるのは確実だ」と予測する。生成AIは開発者や運用担当者の仕事をどう変える可能性があるのか。
OpenAIの大規模言語モデル(LLM)「GPT-3」の登場以前から、企業のIT部門が日常業務で使用するツールと、生成AIを組み合わせて使う動きはある。例えば構成管理ツール「Ansible」で、ソースコードでインフラの構成を管理する「IaC」(Infrastructure as Code)を実践する際にも生成AIを使える。
2022年10月、IBM ResearchとRed Hatは生成AIの開発プロジェクト「Project Wisdom」を立ち上げた。コマンドを入力するだけで、自動化手順書「Ansible PlayBook」を生成できるようにするものだ。「重要なポイントは、Ansible PlayBookを実行しなくても、Ansible PlayBookで何ができるのかを説明できることだ」。Red Hatの製品統括シニアバイスプレジデントを務めるアシェシュ・バダニ氏は、2022年10月に公開したブログエントリでこう述べる。
システム運用に自動化を取り入れて信頼性を向上させる「サイト信頼性エンジニアリング」(SRE:Site Reliability Engineering)は、ソースコードに基づく手法だ。IaCのソースコードを記述することで、テスト環境や本番環境へのデプロイ(配備)をスムーズに実施できるようになる。
調査会社Forrester Researchでアナリストを務めるディエゴ・ロ・ジューディチェ氏は、「生成AIを活用することで、アプリケーションのソースコード生成だけでなく、機能テストや単体テストの自動化もできる」と話す。
「開発者の仕事が生成AIに完全に置き換わる可能性は低いものの、生成AIがプログラマーの仕事に大幅な変化をもたらすのは確かだ」というのがバダニ氏の考えだ。例えば開発者の仕事の一部は、プロンプト(情報を生成するための質問や指示)を作成する「プロンプトエンジニア」へと変化する可能性がある。
第3回は、システム運用管理におけるAI技術の活用について解説する。
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