IT業界において存在感を示してきたIBMは、近年業績の不振にあえいでいる。ストレージ分野に関する同社の業績を振り返るとともに、明るい兆しが見える今後の展望を読み解く。
幅広い分野でIT業界をリードしてきたIBMは、クラウドサービスやコンテナといった新興技術への方針転換の最中だ。同社のこれまでの業績を、ストレージ分野を中心に振り返る。
調査会社IDCが公開した、2021年第2四半期(4〜6月)における外付けOEM(相手先ブランドでの製造)ストレージシステムのランキングを見てみよう。それによるとIBMの市場シェアは4.7%で、日立(4.9%)やPure Storage(4.1%)と同率5位になっている。ランキング上位4社を占めるのはDell Technologies、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、NetApp、Huawei Technologiesだ。
1980年にIBMは、経済誌Fortuneによる企業の売上高ランキング「Fortune 500」の米国企業のランキング8位に入った。当時の上位30社には他のIT企業の名前はない。ところが2023年には順位を65位まで落とし、Amazon.comやAppleをはじめとするIT企業の後塵(こうじん)を拝することになる。
近年のIBMの収益は、減少傾向が続いている。1990年代末から2007年ごろまでは平均900億ドルで、2011年には1060億ドルに達したものの、そこを境に減少が始まっている。
それでも、IBMが大企業であることは変わらない。2022年には605億ドルの収益を上げ、170カ国に28万人以上の従業員を擁している。2022年第1四半期は、それまでの業績悪化から8%の増益に転じた。成長を主にけん引したのはRed Hatの買収だ。
次回は、IBMのストレージ製品を紹介する。
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