コンピュータの巨人IBMが“かつての栄光”を取り戻すときは来るかIBMの過去と現在【第2回】

IT業界において存在感を示してきたIBMは、近年業績の不振にあえいでいる。ストレージ分野に関する同社の業績を振り返るとともに、明るい兆しが見える今後の展望を読み解く。

2023年10月26日 05時00分 公開
[Antony AdsheadTechTarget]

 幅広い分野でIT業界をリードしてきたIBMは、クラウドサービスやコンテナといった新興技術への方針転換の最中だ。同社のこれまでの業績を、ストレージ分野を中心に振り返る。

IBMは経営不振なのか?

 調査会社IDCが公開した、2021年第2四半期(4〜6月)における外付けOEM(相手先ブランドでの製造)ストレージシステムのランキングを見てみよう。それによるとIBMの市場シェアは4.7%で、日立(4.9%)やPure Storage(4.1%)と同率5位になっている。ランキング上位4社を占めるのはDell Technologies、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、NetApp、Huawei Technologiesだ。

 1980年にIBMは、経済誌Fortuneによる企業の売上高ランキング「Fortune 500」の米国企業のランキング8位に入った。当時の上位30社には他のIT企業の名前はない。ところが2023年には順位を65位まで落とし、Amazon.comやAppleをはじめとするIT企業の後塵(こうじん)を拝することになる。

 近年のIBMの収益は、減少傾向が続いている。1990年代末から2007年ごろまでは平均900億ドルで、2011年には1060億ドルに達したものの、そこを境に減少が始まっている。

 それでも、IBMが大企業であることは変わらない。2022年には605億ドルの収益を上げ、170カ国に28万人以上の従業員を擁している。2022年第1四半期は、それまでの業績悪化から8%の増益に転じた。成長を主にけん引したのはRed Hatの買収だ。


 次回は、IBMのストレージ製品を紹介する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...