企業がAI技術をビジネスに取り入れ、長期的に利益を生み出していこうとするならば、今後考慮すべきはリスクだ。その際に重要となる4つの指針を紹介しよう。
AI(人工知能)技術をビジネスに取り入れる企業の動きが拡大している。AI技術を利用する際に今後重要になるのは、プライバシーの侵害をはじめとしたリスクを考慮することだ。AI技術ベンダーDataikuで「責任あるAI」(公平性や透明性、安全性の確保を考慮したAI技術)の責任者を務めるトリベニ・ガンジー氏がブログに公開したエントリ(投稿)を基に、AI技術を安全に利用するために役立つ倫理的な枠組みや指標について紹介する。
経済協力開発機構(OECD)や欧州連合(EU)のような機関は、AI技術の利用時に対処すべき点を網羅した、責任あるAI利用の枠組みを公表している。これらの枠組みは、一般的には次の4つの指針に集約できる。
AI技術の開発ライフサイクル全体にわたって信頼性と一貫性を確保し、データやAIモデルは不正アクセスや攻撃に耐えられる安全性を備えている。個人情報について適切な管理を実施し、プライバシー保護体制を強化している。
AI技術の開発ライフサイクル全ての段階における所有権や責任の所在を明文化している。AIシステムの動作や出力結果の原因を説明できる状態になっている。
AIシステム構築に当たり、個人や集団に対するバイアス(偏見)を最小限に抑えられるよう配慮している。人の決断や選択における偏見を縮小することも考慮している。
エンドユーザーは自身が属する組織がAI技術を利用していることを認識でき、AI技術の開発に利用する手法やデータ、パラメーター(変数)といった情報にアクセスできる。
AI技術をビジネスに取り入れる企業は、AI技術の安全な導入や、責任あるAIの出発点として、これら4つの指針を考慮すべきだ。
第3回は、LLMの用途を特定するための方法を解説する。
変更履歴(2023年10月13日14時55分)
記事掲載当初、本文で「公平性(Transparency)」「透明性(Fairness)」と記載していましたが、正しくはそれぞれ「公平性(Fairness)」「透明性(Transparency)」 です。おわびして訂正します。本文は修正済みです。
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