サブネットを学ぶ【前編】
いまさら聞けない「ネットワークにサブネットを作る」のは何のため?
ネットワークの複雑化による幾つかの弊害を防ぐために有効なのが、ネットワークを小さな単位「サブネット」に分割する手法だ。その目的や用途を解説する。
企業のネットワーク構成が複雑になると、トラフィック(ネットワークを流れるデータ)量が増えたときに、処理速度や遅延などのパフォーマンスが悪化する場合がある。こうした問題を防ぐための技術が、ネットワークをより小さな単位「サブネット」に分割することだ。サブネットのさまざまな用途と、実装時の注意点を解説する。
サブネットを作る目的とは?
ネットワーク管理者はネットワークの管理を容易にするために、サブネットを作成する。通常、サブネット同士は互いに接続されており、必要があればトラフィックはサブネット間を横断して行き来できる。サブネットを作成する理由は複数あるが、主要な目的はネットワークの各セグメントの管理を容易にし、処理速度などのパフォーマンスとセキュリティを向上させることにある。
具体的に、ネットワーク管理者がどのような用途でサブネットを作成するのか見ていこう。
支店や支社の隔離
ネットワーク管理者が、ネットワークの物理的な構成に基づいてサブネットを構成することで、企業ネットワークの処理速度向上や管理効率化に寄与できる可能性がある。
企業は支店や支社ごとに個別のサブネットを作成することで、不要なトラフィックが他のネットワークに流れることを防ぐ。各支店と本社は専用線やVPN(仮想プライベートネットワーク)で接続する。
本社と支店、支社を同じサブネットに配置する「フラットネットワーク」構成の場合、不要なトラフィックで通信が混雑する可能性がある。支店や支社ごとにサブネットを作成すると、ネットワークの処理速度や遅延などが改善して、ネットワークのリソースを効率的に管理できる可能性がある。
クラウドインフラの最適化
企業はクラウドインフラでもサブネットを構築できる。クラウドインフラのリソースをオンプレミスのデータセンターとは別のサブネットに配置することで、各サブネット内のリソースをグループ分けして細かく制御し、効率的に管理できる。
セキュリティとプライバシーの向上
サブネットは、セキュリティ対策やプライバシー保護でも重要な役割を果たす。例えば、機密情報を保持しているサーバのデータをレプリケーション(複製)する際にもサブネットは有効だ。機密性の高い情報が含まれたトラフィックを、従業員が通常業務で使うネットワークに流れ込まないように隔離できるからだ。機密情報を扱うサブネットは組織のメインのネットワークから物理的にも切り離されて、外部から侵入されるリスクを軽減していることがある。
ネットワーク管理者が、機密情報を扱うデータベースなどのバックエンドのシステムにアクセスするための管理用サブネットを作成することもある。従業員が一般的に利用するネットワークと分離することで、特定のユーザーのみが管理用ネットワークにアクセスする仕組みを構築できる。
次回はサブネットの配置について考慮すべき点を解説する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
「身代金を支払う」以外のランサムウェア対策は本当にあるのか?
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
肥大化した「SFA」の沼 4カ月でBigQuery×AppSheetの新システムを構築した方法
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
ネットワールド、ICカード認証対応のシンクライアント構築アプライアンスを販売
-
10
次世代RPA「ハイパーオートメーション」が急成長か Gartnerが予測
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー