“オンライン談話室”が生む化学反応
女性エンジニアの“孤立”を防ぐために「コーヒールーレット」が効く理由
テレワークが一般化した現代において、女性エンジニアの活躍を促すにはどのような取り組みがあるのか。女性従業員の交流の機会を生む「コーヒールーレット」の他、さまざまな施策を実施する企業の事例を紹介する。
IT企業による人員削減や人手不足が話題に上る一方、女性エンジニアの育成や活躍は終わりが見えない課題だ。そうした中、英国の小売業者Dunelm Group(以下、Dunelm)は、IT分野での女性の活躍を促進するための取り組み「Women in Tech」(WIT)で独自の施策を実施している。その一つが“偶然の出会い”を生む「コーヒールーレット」だ。本稿は、コーヒールーレットをはじめとしたDunelmでのWITの取り組みとその成果を紹介する。
WITに役立つ「コーヒールーレット」とは
コーヒールーレットは、さまざまな部署や役職の従業員同士をペアリングして、業務やキャリアの経験について話す機会をつくるための取り組みだ。Dunelmでは月に1回の頻度でコーヒールーレットを開催。従業員がさまざまな技術や職場に関する知識を得たり、業務における自信を高めたりすることを目的としている。
DunelmのシニアビジネスアナリストでSTEM(科学、技術、工学、数学)アンバサダーを務めるプリティ・ベルマ氏は、「在宅勤務が一般的になった現代、人脈を形成するための選択肢としてコーヒールーレットがある」と説明する。従業員は出会いやコミュニケーションの機会、困ったときに頼れる存在を得ることができ、IT部門は女性エンジニアが何をしているのかを把握できる。「自然発生的には、このような交流は生まれない」とベルマ氏はこの取り組みを評価する。
ベルマ氏によると、女性エンジニアがより多くの役割を担うための鍵は「ロールモデルの存在」だ。一方で、育児休暇から復職したり、休職を経験したりした女性エンジニアの課題に「インポスター症候群」(客観的に高い評価を得ているにもかかわらず、自分を過小評価してしまう心理状態)がある。「女性エンジニアが自信を持ち、役職に応募することをためらわないようにする。希望の役職に採用されなかったとしても、次回の応募に役立つフィードバックを女性エンジニアに提供することが大切だ」とベルマ氏は説明する。
企業イベント「Women in Tech Week」の目的は?
Dunelmは2024年10月、社内イベント週間「Women in Tech Week」を開催。オンラインとオフライン両方で複数のイベントを実施した。Dunelmの最高技術情報責任者(CTIO)、ジョン・ガハガン氏との質疑応答セッションはその一環だ。
ベルマ氏はこのセッションを「率直でオープンな場」だったと表現する。IT関連のキャリア形成や職場でのジェンダーに関する考えを理解する契機にもなったと同氏は添える。
「ランチ&ラーニングセッション」を開催する計画も
Dunelmのソフトウェアエンジニアであるジョー・カルナバーナ氏と、人事部門のシニアパートナーを務めるリアン・オートン氏は、同社におけるさまざまなWITの取り組みを立案、企画した立役者だ。カルナバーナ氏によると、Dunelmは2025年、昼休みを利用した勉強会やセミナーを意味するランチ&ラーニングセッションを開催する計画がある。セッションを通じて知識の共有を促進し、従業員の連携を強化する。
他にも、Dunelmの本社周辺にある教育機関でWITの活動を展開することを視野に入れているという。女子学生に工学やIT分野でのキャリア形成の可能性を早期から知ってもらうためだ。
「私たちは、成長してキャリアを発展させたい女性エンジニアを支援する環境を育んでいる。男性エンジニアに女性エンジニアを支援する方法を伝える取り組みも実施している」(ベルマ氏)
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