女性がキャリアを積みやすい企業になるには、どのような施策が必要なのか。調査を基にIT業界で働く女性が求めている支援策を紹介する。
前編「IT業界で働く女性が困る『研修不足』以外の“あの問題”とは?」に引き続き、女性がキャリアを積む際の障壁と、改善のための支援策を考察する。本稿が紹介するデータは、オンライン研修ベンダーSkillsoftが公開した調査レポート「Women in Tech Report」の2021年版に基づく。同社は米国、英国、カナダ、フランスの4カ国のIT業界で働く女性1100人を対象に、この調査を実施した。
英国女性はワークライフバランスの欠如だけでなく、同一労働同一賃金の欠如についても懸念を示している。英国回答者の32%が、IT業界で働く際に直面する最大の障壁に「同一労働同一賃金の欠如」を挙げた。英国回答者の約60%は、IT業界の職務とキャリアにおいて研修と専門的能力の育成が重要だと答えている。だが「このような機会を雇用主が用意している」と答えたのは回答者全体の42%にすぎない。
女性がスキル習得を求めているのは紛れもない事実だ。リーダーシップとマネジメントのスキルに加えて、サイバーセキュリティ、データ分析、機械学習をはじめとする人工知能(AI)技術といった分野の知識やスキルは、IT分野で働く女性にとって習得が望ましい。こうした知識やスキルは、IT分野で働く女性が習得を望んでいるものでもある。こうした分野に関する資格を取得した英国回答者の半数は「資格を取得すると、職場で責任のある職務に就く上でプラスの効果があった」と答えている。英国回答者の36%は賃金アップ、34%は昇進に役立ったという。
より多くの女性がIT業界で働く可能性を高めるために必要なのは、企業が専門能力育成や研修の機会を増やしたり、企業内保育所などの福利厚生制度を設けたりすることだ――。英国回答者の約60%が、こう回答している。
回答者全体の43%は、キャリアコーチング、メンター、カウンセリングの利用が可能になると、女性がIT職に従事しやすくなると考えている。41%は“より公平な職場文化”の構築によって、IT業界で働きたいと考える女性が増える可能性があると答えた。
男女比率に関する設問では、英国回答者の72%が「職場の男性比率が高い」と答えている。職場の男女比が4対1以上と回答した英国回答者は10%、2対1と回答した英国回答者は30%に上る。一方「職場の女性比率が高い」と答えた英国回答者は16%だった。
Skillsoftが調査した世界のデータによると、IT業界で最高幹部職に就いている女性は、現在の地位にたどり着くまでに男性よりも長い年月を要している。最高幹部職に就いている男性がIT業界で積んでいるキャリアが平均で15〜20年なのに対し、女性の平均年数は約26年だった。
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