知らない間に個人情報が盗まれる【前編】
気付いたら偽のWebサイトで個人情報を入力してた――ファーミングの手口とは
エンドユーザーが気付かない間に個人情報を自ら差し出すように仕向けるのが「ファーミング」だ。その仕組みと手法を紹介する。
ファーミング(pharming)は、エンドユーザーを偽のWebサイトに誘導し、エンドユーザーの個人情報を入力させる攻撃手法だ。エンドユーザーが偽のWebサイトに誘導されたことに気付かないまま、クレジットカード番号や銀行口座番号、パスワードなどの情報を偽のWebサイトに入力すると、攻撃者はその情報を盗み取るだけではなく、不正行為に悪用する。
ファーミング攻撃の仕組みを分かりやすく解説
併せて読みたいお薦め記事
2025年のセキュリティトレンド10選
ファーミングはDNS(ドメインネームシステム)を悪用する攻撃手法だ。DNSは、「google.com」などのドメイン名を「187.128.30.49」などのIPアドレスに変換する。ファーマー(ファーミング攻撃を実施する攻撃者)がDNSサーバ内のIPアドレスを書き換えると、エンドユーザーのPCは誤ったIPアドレスを受け取る。その結果、エンドユーザーは正規のWebサイトではなく偽のWebサイトに誘導され、個人情報や機密情報を盗み取られる恐れがある。
ファーミングの手法
ファーミングの主な手法は以下の通りだ。
手法1.マルウェア型ファーミング
ファーマーが悪意のあるプログラムをメールで送信してPCのhostsファイル(静的な名前解決に使うOSの設定ファイル)を改ざんする手法だ。hostsファイルは、Webサイトにアクセスする際に使用するURLをIPアドレスに変換する。hostsファイルが改ざんされると、エンドユーザーが正しいURLを入力したりブックマークをクリックしたりしても、偽のWebサイトに誘導される。一部のスパイウェア除去プログラムを使えばhostsファイルの改ざんを修正可能だ。しかし、ポップアップ広告や「Cookie」(エンドユーザーがWebサイトを訪問した際にそのデバイスのWebブラウザに記録される情報)をブロックするといった閲覧時の習慣をエンドユーザーが見直さない限り、改ざんは再発する恐れがある。そのため、システムの修復と保護ができるセキュリティソフトを導入することが望ましい。
手法2.DNSキャッシュポイズニング
DNSサーバのキャッシュを書き換えて、正規のWebサイトにアクセスしようとするエンドユーザーを偽のWebサイトに誘導する手法だ。この手法では、PCごとにhostsファイルを改ざんする必要はない。その代わりに、DNSサーバに不正なリクエストを送信し、キャッシュを偽の情報に書き換えることで、そのDNSサーバを利用する複数のエンドユーザーが偽のWebサイトにアクセスするように仕向ける。エンドユーザーは違和感を持つことなく偽のWebサイトに誘導される。DNSキャッシュポイズニングはエンドユーザーのPCの問題ではないため、スパイウェア除去プログラムを使っても対処できない。
手法3.ソーシャルエンジニアリングファーミング
ソーシャルエンジニアリングは、人の心理を操って意図通りの行動をさせる攻撃手法だ。ソーシャルエンジニアリングによって、エンドユーザーを偽のWebサイトに誘導する手法をソーシャルエンジニアリングファーミングと呼ぶ。攻撃者はメール、テキストメッセージ、電話を通じて信頼できる組織になりすまし、エンドユーザーが偽のWebサイトへのリンクをクリックするよう仕向ける。
ファーミングの事例
2000年代以降、以下のファーミングが発生している。
- Rock Phishによる攻撃
- 2000年代初頭に活動した攻撃集団Rock Phishは、銀行のWebサイトやEコマース(EC:電子商取引)サイトを標的とし、エンドユーザーを偽のWebサイトに誘導して認証情報を収集した。
- 「DNSChanger」の利用
- DNSChangerは、PCのDNS設定を改ざんするマルウェアだ。マルウェア対策ソフトウェアの機能を妨害したり、検索結果を書き換えて、エンドユーザーを偽のWebサイトに誘導したりした。2011年、米連邦捜査局(FBI)はDNSChangerを悪用していた犯罪組織を逮捕。活動に使っていたDNSサーバを押収した。
- ブラジルの大手通信会社の従業員を装った攻撃
- 2015年、ブラジルの大手通信会社の従業員を装った攻撃者が、同社のサービスを利用する家庭用ルーターの所有者にフィッシングメールを送信した。メールを受信したエンドユーザーが、メールに記載されたURLをクリックした結果、ファーミング用のマルウェアがダウンロードされた。この攻撃は、ルーターとDNS設定の脆弱(ぜいじゃく)性を悪用し、ネットバンキングユーザーを標的として認証情報を盗み取ったものだ。
次回は、ファーミング攻撃を受けたかどうかを確認するための方法、フィッシングとの違いなどを紹介する。
TechTarget.AIとは
TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国Informa TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
TechTarget.AI
TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
「身代金を支払う」以外のランサムウェア対策は本当にあるのか?
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
肥大化した「SFA」の沼 4カ月でBigQuery×AppSheetの新システムを構築した方法
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
ネットワールド、ICカード認証対応のシンクライアント構築アプライアンスを販売
-
10
次世代RPA「ハイパーオートメーション」が急成長か Gartnerが予測
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー