次世代のサイバー脅威、求められる対策は? 2025年のセキュリティ予測2025年のセキュリティトレンド10選【前編】

人工知能(AI)技術の進化といった動きを背景に、ITの在り方は大きく変わりつつある。セキュリティもその例外ではない。2025年に注目すべきセキュリティ動向を紹介する。

2025年02月05日 05時00分 公開
[Kyle JohnsonTechTarget]

 ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃に引き続き警戒が必要な他、人工知能(AI)技術を使った巧みなフィッシングメールが登場している。一方で、保護する側においてもAI技術の活用が進んでいる。セキュリティを巡る動きは活発だ。2025年はどうなるのか。2025年のセキュリティトレンド10選のうち、本稿はその前半として5つのトレンドを紹介する。

1.セキュリティにおけるAI技術利用が減速

 2024年はセキュリティ対策を強化するためにAI技術を取り入れる動きが活発だった。しかし調査会社Forrester Researchによると、2025年はAI技術利用の勢いが減速する見込みだ。

 理由の一つは、AI技術を導入するための予算が不足していることだと、Forrester Researchは説明する。同社アナリストのコーディ・スコット氏は、「セキュリティ対策にAI技術を取り入れた組織からは、そのメリットを十分に実感していないという声も上がっている」と述べる。AI技術は主に脅威の検出や分析で活用されており、スコット氏によるとインシデント対処ではまだAI技術を十分に活用できないのが現状だ。

2.AI技術利用によるリスクへの対処

 AI技術の活用は法規制の面も含め、組織にさまざまなリスクをもたらす。米Informa TechTarget傘下の調査会社ESG(Enterprise Strategy Group)セキュリティ部門ディレクター、メリンダ・マークス氏によると、AI技術は予期しない振る舞いをする場合がある。「セキュリティ担当者はAI技術利用のリスクを意識し、事故を予防するための仕組みを作らなければならない」(同氏)。特に、AI技術によって生成されたソースコードについては精査することが重要だ。

3.初期アクセスブローカーを使った攻撃

 コンサルティング会社Deloitteは2025年、攻撃者による「初期アクセスブローカー」(Initial Access Broker:IAB)の利用が拡大すると見込んでいる。IABは標的システムの脆弱(ぜいじゃく)性を悪用し、侵入経路を開拓するためのツール(アクセス権)を攻撃者に販売する人だ。攻撃者はIABからアクセス権を購入すれば、高度な技術ノウハウがなくても標的システムに入り込める。

 Deloitte米国サイバーインテリジェンス部門長のクレア・モーア氏によると、ダークWeb(通常の手段ではアクセスできないWebサイト群)でのIABによる出品が活発だ。2024年10月、約400件があったという。そのため、同氏は今後、IABが提供するアクセス権を使った攻撃が増えると予測する。

4.MSPとMSSPの利用拡大

 Informa TechTargetのサイバーセキュリティリサーチディレクター、マクシーン・ホルト氏は2025年、マネージドサービスプロバイダー(MSP)や、マネージドセキュリティサービスプロバイダー(MSSP)による支援が拡大すると予測する。ユーザー組織において、セキュリティの専門的な知識や技術を持った人材が不足していることが背景にある。特にサーバやモバイルデバイス、IoT(モノのインターネット)デバイスなどのID管理に関してMSPやMSSPによる支援が拡大する見込みだという。

5.セキュリティ製品の合理化

 ユーザー組織はさまざまなセキュリティツールを利用する傾向にあり、それが運用効率の悪さにつながっている。セキュリティベンダーPalo Alto Networksによると、30個以上のツールを使っている組織は少なくない。セキュリティベンダーOptiv Security最高情報セキュリティ責任者(CISO)のマックス・シェアー氏は、「2025年にはセキュリティ製品の合理化が進む」と予測する。セキュリティ製品の合理化に取り組めば、運用効率の向上に加え、コスト削減も図れる。ただしシェアー氏によると、セキュリティ製品の合理化は短期間でできるものではなく、「効果が出るまでに3~5年かかる場合がある」という。


 後編は、2025年セキュリティ予測の第2弾をお届けする。

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