期待値はChatGPT超え? セキュリティは「AIエージェント」でこう変わる2025年セキュリティ「3大トレンド」【中編】

2025年のセキュリティのトレンドの一つが、「AIエージェント」の登場だ。AIエージェントとは何か。セキュリティ分野にAIエージェントがもたらす可能性や課題を説明する。

2025年01月22日 05時00分 公開
[Tyler ShieldsTechTarget]

 人工知能(AI)技術の進化は、セキュリティ分野にも恩恵をもたらす。特に「AIエージェント」の登場が、セキュリティの在り方を大きく変えようとしている。AIエージェントが普及するためには、越えなければならないハードルもある。2025年のトレンドの一つになり得るAIエージェントについて、その可能性と課題を整理しよう。

2.AIエージェントの登場

 AIベンダーOpenAIが開発したチャットbot型AIサービス「ChatGPT」をはじめ、AI技術を基にしたツールの利用が広がっている。セキュリティ分野でもAI技術を取り入れたセキュリティ製品が登場しており、これからAI技術が本格的に使われるようになると考えられる。

 今後、AI技術活用の中核を担うようになるのはAIエージェントだ。AIエージェントは自律的に動作するプログラムであり、セキュリティ分野においてはシステムの脅威になり得るさまざまなデータを収集して分析し、攻撃パターンについて学ぶ。AIエージェントは複雑なタスクを分割し、それぞれを専用エージェントに引き渡すことでタスクの実行や管理をしやすくする。

 2025年はAIエージェントを搭載したセキュリティ製品が増え、タスク自動化の機能が充実するだろう。ただしAIエージェントの力を引き出すには、以下の課題解決に取り組む必要がある。

  • データへのアクセス
    • AIエージェントベースのセキュリティを実現するには、広範なデータセットを用意しなければならない。そのためには、脅威データや脆弱(ぜいじゃく)性データ、IT資産データをまとめ、統合的に運用する必要がある。すでにデータセットの用意に着手した組織もあるが、本格的なデータ活用が可能になるまではまだ時間がかかりそうだ。
  • AIエージェントに対する信頼
    • AIエージェントに利用に当たり、組織はその仕組みやアウトプットに関して信頼を持っていなければならない。現状では、AI技術に判断までを任せることについて、懐疑的な組織も少なくないだろう。AI技術が完璧ではないので、脅威の誤検知や誤った対処もあり得る。2025年はAI技術の進化も期待できるので、トライアルを重ねつつ、AIエージェントとの「信頼関係」を少しずつ築いていけばよい。
  • コンプライアンス問題
    • AIエージェントの利用に当たり、コンプライアンス(法令順守)を考えることも重要だ。AIエージェントによる誤検知は、セキュリティ事故やコンプライアンス違反を招きかねない。AIエージェントが本格的に普及する前の2025年のうちに、コンプライアンスを徹底するための準備を進めておきたいところだ。

 後編は、3つ目の予測を紹介する。

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