被害件数は330万件超え
止まらない「決済詐欺」に大手銀行やMetaがチーム結成 効果の見通しは?
クレジットカード情報やインターネットを悪用した詐欺の被害が後を絶たない。被害の実態と、金融機関、通信会社、IT企業が連携して被害を食い止める、英国の活動を紹介する。
クレジットカードの不正利用や、標的をだまして支払いを承認させる「APP詐欺」による被害を減らすために、IT企業、金融機関、通信会社がタッグを組んだ。業界の垣根を超えた連携が実現した理由は何か。
3業界の企業の顔触れは
この連携は、詐欺の防止に取り組む英国のイニシアチブ「Stop Scams UK」の活動の一環として進行している。共同声明には、以下をはじめとした13の組織が署名した。
- 金融機関
- HSBC Group
- NatWest Group
- Santander UK
- Monzo Bank
- Lloyds Banking Group
- IT企業
- Amazon.com
- Meta Platforms
- 通信会社
- Hutchison 3G UK(Threeの名称で事業展開)
- BT Group
これだけの組織が足並みをそろえる背景には、英国で続く詐欺被害の実態がある。
2025年5月に銀行業界団体UK Financeが公開した調査レポート「Annual Fraud Report 2025」によると、2024年に英国で発生したクレジットカードの不正利用やAPP詐欺による被害額は約11億7000万ポンド(日本円で約2270億8500万円)、被害件数は331万件だった。Annual Fraud Report 2025は、英国における2024年の金融詐欺の実態と傾向を分析したものだ。
決済に関する詐欺は、標的が支払いを承認したかどうかという観点で、2種類に分けることができる。1つ目は標的が支払いを承認していない、クレジットカードの不正利用だ。2つ目は攻撃者が標的をだまして支払いに仕向けるAPP詐欺だ。
APP詐欺は、攻撃者が偽のWebサイトやメールを使って標的を誘導し、送金させる手法を取る。標的が支払いを承認するステップを踏むため、銀行の不正検出の仕組みをかいくぐることができる。
Annual Fraud Report 2025によると、APP詐欺による2024年の被害額は約4億5000万ポンド(約875億2500万円)で、2023年から2%減少した。被害件数は18万6000件で、20%減少した。この件数と損失額は2021年以来の最低水準で、不正検出技術への投資や、消費者への教育啓発の効果が表れているという。
UK Financeの経済犯罪担当マネージングディレクター、ベン・ドナルドソン氏は「攻撃者が詐欺行為を通じて獲得した金が、国内外の組織犯罪の資金源になっている」と警告する。
金融業界が顧客保護に尽力する一方、攻撃者は巧妙な手口で不正検出を回避していることをドナルドソン氏は指摘する。「官民が連携し、データや知見の活用を強化する積極的な対策が必要だ」。こう話す同氏は続けて、「IT業界と通信業界が、詐欺の温床となる自社のプラットフォームやネットワークへの監視を強化すべきだ」と課題を提起する。
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