新たな境界は「アイデンティティー」【前編】

防御の境界はもうネットワークではなく「アイデンティティー」である必然の理由

インターネットの進化により、IPアドレスや場所に依存した従来型セキュリティの境界は消滅した。新たに「アイデンティティー」が新たな境界となり、攻撃対象領域としての重要性が高まっている。

 インターネットの黎明(れいめい)期には、ユーザーが自宅や会社の固定回線からインターネットにアクセスするのが一般的だった。このとき、各回線に割り当てられる「IPアドレス」は、インターネット上の“固有の住所”のような役割を果たしていた。

 しかし現在では、従来のIPバージョン「IPv4」のアドレスが世界的に不足しており、1つのIPアドレスを複数の利用者で共有することも珍しくない。さらに、テレワークの普及やクラウドサービスの活用が進む中で、利用者がインターネットに接続する場所は常に変化している。

 その結果、IPアドレスは以前のように恒久的な“身元情報”とは言えず、むしろ一時的で不確かな“目印”に過ぎなくなりつつある。IPアドレスを基に、サイバー攻撃などの潜在的な脅威を特定することは、かつてより格段に難しくなっている。

従来の境界の終焉(しゅうえん)

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