AI時代のキャリアアップを後押し
セキュリティ専門家としてのキャリアが開ける「AIセキュリティ専門資格」が誕生
ITガバナンスや監査の国際団体ISACAが、世界で初めて、AIセキュリティ専門の認定資格を提供開始した。一体どのような資格なのか。
ISACA(Information Systems Audit and Control Association)は、ITガバナンスやIT監査といった分野でのキャリア形成を支援するために、さまざまな認定資格やトレーニングを提供する国際的な団体だ。世界中に220以上の支部組織を持ち、約18万5000人の会員を擁している。
2025年8月19日(現地時間)、ISACAは、急速に発展している人工知能(AI)技術を対象とする新しい認定資格「Advanced in AI Security Management」(AAISM)の提供を開始した。
提供に至った背景は 誰が取得できるのか?
ISACAが2025年6月に公開したレポートによると、世界中の約3000人のデジタルトラスト専門家を対象に実施した調査において、61%が、攻撃者による生成AIの悪用について“非常に懸念している”と回答した。懸念される悪用については、誤情報もしくは偽情報、プライバシーの侵害、ソーシャルエンジニアリング(人の心理を巧みに操って意図通りの行動をさせる詐欺手法)、知的財産(IP)の流出などが上位に挙がった。
一方で、81%が、業務でAIを使用していると回答した。89%が、キャリアアップ、もしくは職務の維持のために、今後2年以内にAIについてのトレーニングが必要になると回答した。ISACAの新しいAIセキュリティ認定資格は、こうしたニーズに応えるものだ。
何の役に立つのか
ISACAは、AAISMを取得したIT専門家がいれば、組織内におけるAIの安全かつ適切な導入を監督し、ポリシーを策定して安全な運用を確保できると語る。同団体は併せて資格取得に向けたマニュアルやオンライントレーニングを提供し、これらはAIリスクへの理解を深めるのに役立つという。学習分野は、以下の3つだ。
- AIガバナンスとプログラム管理
- AIテクノロジーとコントロール
- AIリスク管理
ISACAのエマージングトレンド&ITリスクアドバイザリーワーキンググループのメンバーで、本人確認サービスを提供するAdvance.aiでコンプライアンス部門の責任者を務めるゴー・セルユン氏はAAISMについて次のように解説する。「この資格によって、AIセキュリティについての高い専門知識と十分な能力を保有していることを証明できる。ISACAが提供する他のセキュリティ資格と併せて保有すれば、セキュリティ分野でのキャリアを成長させるための強力な差別化要因となるだろう」
誰が取得できるのか
AAISMの取得のためには、以下の資格のどちらかの保有が求められる。
- ISACAの「Certified Information Security Manager」(CISM)
- セキュリティ分野の認定資格を提供する団体ISC2(International Information System Security Certification Consortium)の「Certified Information Systems Security Professional」(CISSP)
その他の要件としてISACAは、セキュリティもしくはアドバイザーとしての経験、AIシステムの評価、実装、保守に関する専門知識を挙げている。
その他のAI関連認定資格
AAISMは、既にいくつかのAI関連の認定資格と、その取得に向けたトレーニングコースや学習リソースを提供している。「AI Fundamentals」は、AIの原理、概念、用途、ソフトウェアとアルゴリズム、リスクと倫理について学ぶ基礎コースで、最終試験に合格すれば資格取得となる。
ISACAは2025年5月、AI監査資格「Advanced in AI Audit」(AAIA)を提供開始した。これは、ISACAの「Certified Information Systems Auditor」(CISA)などの高度なIT監査資格を保有する専門家向けで、英国とアイルランドでは、Association of Chartered Certified Accountants (ACCA)が認定した会計士、もしくはその上級資格であるフェローシップの保有者も対象となる。
ISACAのCEOを務めるエリック・プルシュ氏は次のように語る。「IT監査とセキュリティの専門家向けに、AIに特化した世界レベルのトレーニングと資格認定プログラムを提供できることをうれしく思う。引き続き、デジタルトラスト分野のリーダーたちが、進化するAI技術を責任を持って効果的に活用し、キャリアアップしていけるよう、画期的な認定資格、役立つトレーニングコースと学習リソースの提供にコミットしていく」
翻訳・編集協力:雨輝ITラボ(株式会社リーフレイン)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー