AIブームが招くメモリの枯渇
メモリ価格“60%上昇”は序章に過ぎない? 価格高騰はいつまで続くのか
AI技術の普及に伴い、DRAMやNAND型フラッシュメモリの供給が不足し、価格が高騰している。Samsungはメモリの卸売価格を最大60%引き上げた。こうした価格高騰はいつまで続くのか。
半導体メモリの一種、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やNAND型フラッシュメモリの供給が不足し、価格が高騰している。データセンターでAI(人工知能)モデルを稼働させるために大容量メモリの需要が高まり、供給を上回っているためだ。Reutersによると、Samsung Electronics(以下、Samsung)は2025年11月、メモリの卸売価格を同年9月と比べて最大60%引き上げた。
価格高騰はいつまで続くのか? アナリストの予測
Samsungは2025年11月、韓国メディアに対し、平澤(ピョンテク)工場と華城(ファソン)工場において、NAND型フラッシュメモリの製造を中止し、より需要が高いDRAMの製造に注力すると明らかにした。需要増の背景には、AIモデルを動かすために大容量メモリの必要性が増したことが挙げられる。
メモリの卸売価格は通常、メーカーが需要に応じて月末に発表する。しかし需要の急増に伴い、Samsungは市場状況を見極めるため、10月の卸売価格の発表を延期した。
メモリ卸売業者Fusion Worldwideの代表を務めるトビー・ゴナーマン氏は、Reutersの取材に対し、「サーバベンダーとデータセンター事業者がメモリ部品を計画通りに入手できないほど、メモリの価格が高騰している」と指摘した。
事態を悪化させているもう一つの要因は、NVIDIAが2026年末までに、メモリ規格「LPDDR5」に準拠したメモリをGPUに全面採用すると発表したことだ。LPDDR5は主流の規格「DDR5」と比べて電力効率が高く、GPUの消費電力を削減できる一方、製造するのが難しい。ゴナーマン氏によると、LPDDR5の普及はサーバ向けメモリ価格を倍増させることを意味する。
一部のアナリストは、DRAMの価格が安定するのは早くとも2027年半ばになると予測している。
SSDの不足も発生
2025年末から2026年末にかけて、SSDも不足する見通しだ。Samsungとその競合のSK HynixがDRAMの増産に注力し、ストレージ製品に搭載されるNAND型フラッシュメモリの製造を縮小するためだ。
SSD不足の背景には、AIインフラ事業者からの需要増の影響もある。大規模言語モデル(LLM)を動かすために数十GBのメモリを高速に読み込む必要があり、HDDよりSSDを採用する事業者が増えている。
供給不足を受け、サーバおよびPCベンダーのLenovoは、Bloombergに対し、2026年末までに製造する全てのマシン向けにDRAMとNAND型フラッシュメモリを確保するため、在庫を積み増していると説明した。報道によれば、競合のAcerは通常のサプライチェーンを経由せず、Samsungの工場から部品を直接購入するために代表団を派遣したという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget グローバルインサイト
米国Informa TechTargetが発信する記事を翻訳し、国内向けに分かりやすく紹介します。最新の海外動向や先進事例を取り上げ、グローバルなITトレンドを把握できる連載です。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ファインディ株式会社] AI利用率だけでは説明できない成果 開発組織の競争力を生む「開発資本」とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] AI活用を成功へ導く、シンプルで費用対効果に優れたクラウド基盤とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] マネージドKubernetesには限界も――メリットをフル活用する新たな選択肢とは? -
技術文書・技術解説
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 決断の日が迫る「vSphere 8」サポート終了問題 考慮すべきリスクと選択肢は? -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] メール誤送信対策のルールが肥大化 苦しむ情シスはどうすれば救われるのか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
3
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
4
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
-
5
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
6
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
7
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
10
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
2
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
6
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
7
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
8
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
9
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
10
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー