CNCFのクラウドネイティブ調査から読み解く
Kubernetes本番稼働「82%」 定番化する注力技術の“次の難所”は
AI技術をはじめとした最新技術のインフラとして、Kubernetesが地位を固めている。しかし技術が普及するにつれて、“新たな課題”も生じつつある。CNCFの調査を基に、組織が競争力を高めるためのヒントを説明する。
オープンソースソフトウェアの管理団体Cloud Native Computing Foundation(CNCF)は2026年1月20日、年次調査レポート「CNCF Annual Cloud Native Survey: The infrastructure of AI’s future」(CNCF年次クラウドネイティブ調査:AIの未来のインフラ)を発表した。
調査では、コンテナ利用組織の82%が本番環境でKubernetesを運用していることが判明した。CNCFは調査結果に対し、組織がAIアプリケーションを本番環境に導入するときに、Kubernetes、AI(人工知能)技術の「デファクトOS」として確固たる役割を果たしていることを示していると述べている。
この調査は、コンテナやコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」など、クラウドネイティブ技術の導入動向に関する利用組織の見解を明らかにする目的で実施された。調査は2025年9月にWebアンケートで実施され、世界のさまざまな業種、規模の企業や団体に勤務する628人が回答した。回答者はクラウドネイティブ技術に精通しており、ソフトウェア開発者、エンジニア、システム管理者が6割強を占める。
コンテナは主要技術として定着 組織は次に何をすべきなのか
CNCFは調査結果のハイライトとして、以下を挙げる。
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クラウドネイティブな技術を使いこなす
インフラを成熟させる技術の普及がほぼ一巡
回答組織の98%が、コンテナやGitOps、オブザーバビリティ(可観測性)、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)といったクラウドネイティブ技術を既に導入している。現代的なアプリケーションを大規模にデプロイ(展開)、管理するための標準として、クラウドネイティブ技術が定着しつつあることを示しているとCNCFはいう。
Kubernetesの本番環境での利用が増加
コンテナ利用組織のうち82%が本番環境でKubernetesを運用している。2023年の調査では、この割合は66%だった。
クラウドネイティブの実践が定着
回答組織の59%が、開発およびデプロイ対象のシステムの「多く」または「ほぼ全て」がクラウドネイティブだと報告した。
新規導入は鈍化
クラウドネイティブ導入の初期段階にある、あるいはクラウドネイティブ技術を全く使用していない組織は10%だった。2023年の調査では、この層は全体の13%だった。この結果は、クラウドネイティブ技術がもはや導入初期や未導入の段階を過ぎ、ユーザー組織の大部分で既に導入済みであることを意味している。
AIプラットフォームとしてのKubernetes
CNCFは、Kubernetesが推論アプリケーションを大規模に実行するためのインフラとして位置付けられつつあるという。それを示す調査結果が以下の通りだ。
AI推論へのKubernetesの使用
生成AIを実行する組織のうち、推論アプリケーションの一部を実行、管理するためにKubernetesを使用していると回答したのは43%、全ての推論アプリケーションにKubernetesを使用していると回答したのは23%で、合わせて66%だった。
約半数の組織は依然としてAIの「消費者」
44%の組織は、KubernetesでAI/ML(機械学習)アプリケーションを実行していない。本番環境でのAI技術の成熟度が、まだ初期段階にあることを示しているとCNCFは見解を述べる。調査回答者の52%は、組織で独自のAIモデルを構築またはトレーニングしていないと回答した。過半数の組織は、独自のモデルをゼロから作るのではなく、既存のAIモデルをファインチューニング(特定用途向けのデータセットを用いてLLMを調整すること)するか、マネージドサービスを利用する「消費者」の立場にあると言える。
課題は技術的な問題から組織文化へ
クラウドネイティブ導入の最大の課題は、技術的な問題ではなく、組織的な問題に移行した。コンテナ技術を実装または利用する際の最大の課題について問う設問では、「開発チームの文化を変革すること」が47%で首位となり、次いでトレーニング不足(36%)、セキュリティ(36%)が続いた。2023年の調査では、課題のトップ3はセキュリティとシステムの複雑さ、システムのモニタリングだった。この結果は組織でクラウドネイティブツールの採用が進む中で、最大の課題が「技術そのもの」から、技術を扱う組織内のコミュニケーションやチームワーク、リーダーシップへと移りつつあることを示している。
Kubernetesをはじめとしたクラウドネイティブ技術がAIアプリケーションの実行に選ばれるインフラとなり、組織がその利用規模を拡大させている。そのような中で組織がさらに競争優位性を高めるためには、技術を使いこなすための組織文化の変革や、最新インフラへの投資、セキュリティやオブザーバビリティの高度化が必要になると、CNCFは結論付けている。
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