生成AIで「思考の拡張」
ライオンはなぜAIに「反証」を求めたか 既存事業のバイアスを壊す新発想
ライオンはAIエージェント「Aconnect」を導入し、AIに自らの仮説を否定させることで、130年の歴史が産んだ「思い込み」を打破する。Aconnectを選んだのは、なぜなのか。
ライオンは、ストックマークの製造業向けAIエージェント「Aconnect」を採用した。2026年2月17日、ストックマークが発表した。130年を超える歴史で培った知見とAIを掛け合わせ、市場調査や仮説検証プロセスを高速化させる。既存事業の枠を超えた新たな価値創造を推進し、将来の収益の柱となる事業創出を目指す。
Aconnectの選定理由と導入効果
ライオンは「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」をパーパスに掲げ、既存の製品カテゴリに留まらない事業機会の創出を加速させている。導入を主導したビジネス開発センターでは、生活者のインサイトを深く理解し、市場ニーズと自社技術を結びつける役割を担っているが、情報の網羅的な収集や、既存の思考の枠組みによるバイアスの打破が課題となっていた。
Aconnectの採用にあたっては、単なる業務効率化に留まらない「思考の拡張力」を評価した。一般的な検索ツールとは異なり、ユーザーの仮説に対して「反証」や「異質な視点」を提示する機能を備えている。AIとの対話を通じて自身の思い込みに気づき、発想を広げられる共創的な体験が、同社の目指すイノベーションのあり方と合致した。
導入の効果として、市場動向やトレンドの調査・精査に要する時間が、従来の数日から数分へと短縮された。これにより、捻出した時間を新しい切り口の検討に充てることが可能となり、仮説検証の量と質が向上した。また、AIが投げかける予期せぬデータや反証が議論の呼び水となり、人間の担当者だけでは辿り着けなかった本質的な価値定義につながっている。
部門を横断した会議においても、その場でAconnectを用いて事実確認やデータ補完を行うことで、議論を中断させることなくスムーズな合意形成が可能になった。直感的な操作性により、専門的なリサーチ業務に詳しくないメンバーへの浸透も進んでいる。
今後はマーケティング部門だけでなく、事業部門や研究開発(R&D)部門へも活用を広げ、全社的な情報感度の底上げを図る。ライオンビジネス開発センターの米谷紘氏は、「Aconnectは私たちの仮説に対して忖度なく反証を投げかけてくれる。この体験こそが、既存の思考の枠を超えたアイデアを生むきっかけとなっている。社内の膨大なデータとAIという外部知見を掛け合わせることで、変化を先取りしながら新たな習慣を提案し続けるしなやかな強さを、組織として体現していきたい」と話している。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「ライオン、AIエージェント活用で市場調査を高速化 『反証』による思考拡張で新事業創出へ」(2026年2月17日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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