“外さない”モバイルルーターの選び方【後編】
“つながる”だけでは不十分? 厳選「モバイルルーター」10機種を紹介
市場には多様なビジネス向けモバイルルーターが出回っているが、周波数帯や通信規格の適合性を誤ると、高価なルーターも「宝の持ち腐れ」になりかねない。過酷なビジネス現場で通用する、主要10機種を紹介する。
テレワークの普及に伴い、場所を問わず安定したネットワークを確保する重要性が高まっている。スマートフォンのテザリングは手軽だが、長時間の業務や複数人での利用には、専用のモバイルルーターの導入が有効だ。モバイルルーターは、バッテリー駆動時間や同時接続台数、セキュリティ機能においてテザリングを上回り、業務の生産性を高める大きな武器になる。
モバイルルーターの選定に当たっては、導入費用や通信プランの適合性、最新の無線通信規格への準拠といった要素を多角的に評価しなければならない。特に現代のビジネスシーンでは、5G(第5世代移動通信)通信のカバー範囲や有線LANポートの有無も、運用の自由度を左右する重要な指標になる。
以下では、ビジネスで使われる代表的なモバイルルーターを10機種取り上げる(注)。自社の要件に合致するモデルを選ぶ際の参考にしてほしい。利用場所、必要な機能、期待される性能を分析することで、候補を絞りやすくなる。ただし、最終的な判断材料として通信プランの運用費用が重くのしかかる。既存の法人契約や通信事業者の特典を考慮し、最も費用対効果の高い手段を選びたい。
※注:本稿で紹介するデバイスは、主に米国市場で普及しているモデルだ。そのため日本国内で利用、導入を検討する場合は、電波法に適合しているかどうか、日本の通信事業者が運用する周波数帯で利用できるかどうか、国内でのサポートサービスが利用できるかどうかといった点に留意する必要がある。
検討候補になるモバイルルーター10選
1.Alcatel LINKZONE 2
Alcatelの「Alcatel LINKZONE 2」は、通信事業者や二次販売業者を通じて広く入手できる、低価格帯のLTE(Long Term Evolution)/4G(第4世代移動通信)ルーターだ。4400mAhのバッテリーを搭載し、最大24時間の稼働と最大16台のデバイス接続が可能だ。
2.JEXtream RG2100 5G Mobile Hotspot
Franklin Wirelessの「JEXtream RG2100 5G Mobile Hotspot」は、外出先や遠隔地での利用を想定した、持ち運びやすいモバイルルーターだ。5Gと4G LTEの両回線を利用できる。IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)での無線通信を通じて最大20台のデバイスと接続を共有できる。法人向けプログラムでよく扱われている。
3.GlocalMe Numen Air U50
GlocalMeの「GlocalMe Numen Air U50」は、4G LTEおよび5G回線に適合し、最大16台のデバイスをインターネットに接続できる。サーバ上の仮想的なSIM情報を利用し、場所に応じて最適な通信会社に自動で切り替える「CloudSIM」方式を採用している。独自の通信プランを用意したい状況に備えて、nano SIMカードのスロットも備えているのが特徴だ。
4.Inseego MiFi X PRO
Inseegoの「Inseego MiFi X PRO」は、管理機能やセキュリティを重視したビジネス用途向けに設計されている。Wi-Fi 6による無線接続に加え、有線接続用のギガビットイーサネット(GbE)ポートも搭載する。最大32台の同時接続を実現し、主要なプロバイダーから法人向けモデルが展開されている。
5.Lifetime World Mobile Hotspot
Keepgoの「Lifetime World Mobile Hotspot」は、世界各地を飛び回る出張者や、分散して働くチームに適したプリペイド式のモデルだ。重さ3.2オンス(約90グラム)、サイズ4.1×2.5インチ(約10センチ×約6センチ)とコンパクトながら、15台が同時接続でき、100カ国以上で動作する。有効期限のないデータ容量をチャージして使う「生涯有効」なプランが強みだ。
6.Nighthawk M6 Pro
NETGEARの「Nighthawk M6 Pro」は、高性能な運用向けに設計されたモバイルルーターだ。Wi-Fi 6と同じIEEE 802.11axを基にしつつ周波数帯として6GHz帯を使用できる、高速で安定した「Wi-Fi 6E」に適合している。最大32台のデバイスの接続と、2.5GbEポートによる有線接続も可能であり、高い処理能力を必要とするシステム構成において真価を発揮する。
7.Nighthawk M7
NETGEARの「Nighthawk M7」は、IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)を通信規格として採用したモデルだ。eSIM(Embedded SIM)と物理SIMの双方を使い分けられるため、接続先の選択において高い自由度を誇る。世界の広い範囲で利用できるよう設計されており、最大32台のデバイスを接続できる。
8.Orbic Speed 5G UW
Orbicの「Orbic Speed 5G UW」は、Verizon Communicationsを通じて提供される通信事業者向けのモデルだ。最大30台のデバイスを接続でき、連続で最大12時間稼働する。
9.Solis Pro 5G
SIMOの「Solis Pro 5G」は、Wi-Fi 6Eへの準拠、最大20台のデバイスの接続、内蔵する8000mAhの大容量バッテリーによる最大48時間駆動といった特徴を備えた、モバイルルーターおよびモバイルバッテリーという位置付けだ。自由度の高いデータプランを選択できる。
10.Solis Lite
SIMOの「Solis Lite」はSolis Pro 5Gよりも小型で、モバイルバッテリーとしても機能する。最大10台のデバイス接続と16時間のバッテリー駆動時間を確保している。低価格帯ながら、外出先での電池切れを防ぐ予備電源としても活躍する。
モバイルルーターは必要か
企業は、従業員がどのようにモバイル通信を利用し、どの程度の信頼性とセキュリティを求められているかを精査する必要がある。たまに使う程度ならスマートフォンのテザリングで十分だが、現場作業や頻繁な出張を伴う専門職など、安定したモバイル通信が必要な職種には、専用のモバイルルーターを提供するのが有効だ。
モバイルルーターを選ぶ際は、デバイスの接続台数、無線通信規格、通信事業者との相性、バッテリー駆動時間、運用費用といった要素を踏まえて、総合的に判断すべきだ。テザリングとモバイルルータを適宜組み合わせることで、強固な通信インフラを維持しつつ、多様な働き方に適応できる仕組みを整えられるはずだ。
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