「電子カルテから手で転記」体制を脱却

閉域網でAPI連携が無理なら“直接”画面を読む――北九州総合病院のAI-OCR活用

「外部連携APIがない」「ネットワークが閉域」といった課題を抱えるレガシーシステムからデータを抽出するのは至難の業だ。北九州総合病院が電子カルテから情報を抽出するために取った“奇策”とは。

 事業部門からの「今使っているシステムと、新しいクラウドサービスを連携してほしい」という依頼は、概してIT部門を悩ませるものだ。連携対象がAPI連携を前提としていないレガシーシステムであったり、セキュリティ要件で閉域網に隔離されていたりする場合、システム間連携には膨大な費用や時間がかかるからだ。

 社会医療法人北九州病院が運営する北九州総合病院も、まさにこの「分断されたシステムの壁」に直面していた。同院では、国の制度変更に伴い、特定の疾患を持つ患者のデータを外部データベース(レジストリ)に登録することが診療報酬加算の要件となった。しかし、院内の電子カルテは自由記述が中心で構造化されておらず、必要なデータを手作業で拾い出す作業は現場にとって極めて高負荷だった。

 医療機関の電子カルテ端末は一般的に閉域環境に置かれており、外部システムとの連携には制約が伴う。そのため現場の担当者が電子カルテの画面を見ながら、手作業で別システムに転記せざるを得ず、入力に1症例当たり最大30分を要していた。年間250症例を処理する現場の負担は限界に達していた。正攻法のシステム改修が難しい中、同院はいかにしてこの窮地を脱したのか。

API連携の壁を「物理的なハック」で突破する

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