1000万円のAPI連携外注費を月額費用のみに

「SaaS入れました」でIT予算崩壊の危機? 近鉄百貨店の“泥沼API連携”回避策

事業部門が次々に導入するSaaSとオンプレミスの基幹システムをAPIで連携させることは容易ではなく、外注すれば期間も費用もかかる。この「連携破産」の危機を、近鉄百貨店はどう乗り越えたのか。

 事業部門による「良かれと思ったSaaS(Software as a Service)導入」は、往々にして情報システム部門への「むちゃ振り」に化ける。

 特に厄介なのが、オンプレミスの基幹システムとのデータ連携だ。従来、オンプレミスシステム同士の連携であれば、定番のミドルウェアを使ったファイル転送やバッチ処理で済んでいた。しかし、モダンなSaaSはAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)経由での接続が前提だ。オンプレミスシステムとSaaSという形態が異なるシステムを安全につなぐためには、セキュアなAPIサーバの新規構築、認証とセキュリティの緻密な設計といった技術的障壁が立ちはだかる。

 これらの作業を外部のベンダーに丸投げすれば、1つのシステムを連携させるだけで「数カ月の開発期間」と「1000万円規模の費用」が見積もりに並ぶことになる。全社的なクラウド移行やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の中、システム連携のたびにこれほどの予算と時間を費やすことになれば、IT予算はすぐに底をつきかねない。

 この「SaaS連携のわな」に直面したのが、ビジネスの多角化に向けてITインフラのクラウド移行を急ピッチで進めている近鉄百貨店だ。同社の経理部門が新たに導入した経費精算SaaS「TOKIUMインボイス」と、「Amazon Web Services」(AWS)に構築した自社の基幹システムをいかにして連携させたのか。外部にシステムを公開せずにセキュアな通信経路を確保するサービスの活用など、わずかな人員だけでデータ連携システムを構築した手法に迫る。

近鉄百貨店が挑んだ「連携内製化」の裏側

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