動機は「年収アップ」でも……
転職後のITエンジニアが「年収」以上に求めているもの
深刻な人手不足が続くIT業界において、エンジニアの転職市場は活況を呈している。転職時に待遇向上を求めていたものの、今後のキャリアで重視したい条件は異なる。転職経験者が本当に求めているものとは。
人手不足が深刻化し、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が急務となる中、IT業界において優秀な人材の確保と定着は最重要課題となっている。技術の進化に伴いエンジニアに求められる要件も高度化しており、転職市場は活況を呈している。しかし、転職を希望する側と採用する企業側との間には、依然として認識のずれが存在している。
エンジニア向け転職サイト「キッカケエージェント」を運営するキッカケクリエイションは2026年5月7~12日にかけて、過去3年以内に転職を経験したITエンジニア258人を対象に調査を実施した。その結果、エンジニアのキャリアに対する価値観が、転職前後で大きく変化している実態が明らかになった。
転職を機に実現したかったこととしては待遇の向上が最も支持を集めた。一方で、今後のキャリアを見据えた際に大切にしたいこととしては、私生活との両立がトップに躍り出た。
なぜ転職経験者は年収以上に働き方を重視するようになったのか。その背景と、転職活動を阻む「見えない壁」の詳細を明らかにする。
「年収」よりも「ワークライフバランス」
同調査では、転職によって自身のキャリアや働き方をより良くできると思うかという問いに対し、「非常にそう思う」(23.6%)と「ややそう思う」(49.2%)を合わせて72.8%が肯定的な姿勢を示した。
転職で実現したいこと(過去の転職で実現したかったこと)の第1位は「年収・報酬を上げること」で65.1%を占めた。次いで「ワークライフバランスを改善すること」が53.5%、「エンジニアとしての技術スキルを向上させること」が38.0%となっている。
しかし、今後のキャリアにおいて大切にしたいことでは、順位が逆転した。「ワークライフバランスを保つこと」が60.1%で第1位となり、「年収・報酬を最大化すること」の55.0%を上回った。
自由回答では、「仕事の負担や責任に対して給与が低い」といった理由で年収アップを目指す声がある一方で、「激務で家庭との両立が困難だった」という切実な声も寄せられた。一度の転職を経て自身のキャリア観を見つめ直した結果、収入増だけではなく、心身共に無理なく働き続けられる環境を求める傾向が強まっているとみられる。今後のキャリアに関する回答でも、「時代の変化に順応して成長したい」という向上心と同時に、「やりがいのある仕事とバランスの両立」を模索する意見が並んだ。
立ちはだかる「市場価値の不可視性」
転職活動における目標設定と現実との間には、ギャップも存在する。転職で希望する年収の増加幅については、「50万円以上100万円未満」が39.9%で最も多く、「100万円以上」を望む層も合計で43.4%に達した。しかし、転職で実現したかったことを実際に達成できたかについては、「十分に実現できた」(12.0%)と「ある程度実現できた」(51.2%)を合わせても63.2%にとどまった。
その実現を阻む最大の障壁として挙げられたのが、「自分のスキルの市場評価が分からないこと」(38.4%)だ。転職活動において、エンジニアは自身の経験や扱えるプログラミング言語、フレームワークを職務経歴書にまとめるが、それらが他社のシステム開発の現場でどの程度の価値を持つのかを客観的に測る手段を持たない。その結果、自分の立ち位置が把握できず、手探りでの応募を余儀なくされている。
次いで「希望条件に合う求人を見つけられないこと」が35.7%、「転職先の技術環境や開発文化が事前に分からないこと」が27.5%と続いた。外部からは企業の内部事情や実際の開発プロセスが見えにくく、情報不足が転職のハードルになっている。
採用企業に求められる透明性の高い情報開示
自らの市場価値を客観的に測り、適切な求人に出会うため、半数以上(51.2%)のエンジニアが転職エージェントを利用した経験を持つ。利用を検討している層を含めると7割を超える(71.4%)。
こうした外部サービスに求めるサポートとして、「希望条件に合う求人を多く紹介してくれること」(46.2%)に次いで、「技術スキルや市場価値を正確に評価してくれること」(42.9%)が上位に入った。この結果からは、エンジニア自身が自らの適正な評価を可視化したいという強いニーズがうかがえる。裏を返せば、採用企業の情報発信や評価基準の提示が不十分であることが、エンジニアの転職活動を難しくしているとも言える。
採用企業は、エンジニアのスキルを正確に評価するだけではなく、求人票の文字面だけでは伝わらない開発体制やチームの文化など、現場のリアルな情報開示を徹底することが重要だ。透明性の高い情報を提供し、ミスマッチを防ぐ姿勢を示すことが、ワークライフバランスを重視する優秀な人材を獲得し、定着させるための鍵になる。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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