人事異動時の「アカウント変更遅れ」を防ぐ

ホンダが実現した28万人のID運用自動化 「手作業の権限変更」から決別

組織ごとに乱立する認証システムや手作業による権限付与は、IT部門を疲弊させるだけではなく重大なインシデントの要因になる。28万人超のID管理という課題に対し、ホンダはいかにして統制を図ったのか。

 企業規模が拡大し、組織が複雑化するにつれて、IT部門の頭を悩ませるのが「IDと権限の管理」だ。拠点や部門ごとに独自の認証システムが乱立すれば、オンプレミスでシステムの維持管理に工数を奪われかねない。さらに深刻なのは、入社や異動、退職といった人事イベントに伴う権限変更作業だ。手作業への依存は、IT部門の作業負荷を肥大化させるだけではなく、人事イベント時の権限付与の遅れなど、セキュリティや業務効率における「死角」を生み出す。

 世界的なモビリティ企業である本田技研工業も、組織ごとに混在する認証インフラと、パスワードに依存した旧式システムというリスクに直面していた。このリスク解消に向けて、同社は28万人超、約1600個のアプリケーションを抱える大規模かつ複雑な条件下で、ゼロトラストセキュリティ実装の第一歩として抜本的なID管理の刷新に踏み切った。

 本田技研工業は「7段構え」のセキュリティ対策を策定し、その中核として認証システムの強化を位置付けた。しかし、単に認証の入り口を集約し、システムを刷新するだけでは、複雑なIDライフサイクルと権限ガバナンスの問題は解決しない。真の運用自動化を実現するために同社が下した決断とは。

なぜ「単なる認証システムの一元化」では不十分だったのか

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