IT資産管理の属人化を防ぐ
“Excel台帳”から脱却したアイオス 情シスの案内なしで従業員が動く運用術
多様な働き方の普及によって、手動のIT資産管理は限界に達している。正確な把握が困難な運用は、未適用パッチなどのセキュリティの死角を生む。「脱Excel」で統制を取り戻したアイオスの事例を紹介する。
企業が保有するPCやスマートフォンの管理において、「Microsoft Excel」などの表計算ソフトウェアを用いた台帳管理を続けているケースは一定数存在する。特定のオフィスのネットワーク内で端末を利用していた時代であれば、手作業による管理で十分だった。しかし、テレワークや客先常駐など、働き方が多様化した昨今、「誰が、どこで、どの端末を使っているか」を正確に把握することは困難になっている。
管理の属人化や実態のブラックボックス化が進むことで懸念されるのがセキュリティ対策の抜け漏れだ。特にOSやソフトウェアの脆弱(ぜいじゃく)性対策として、パッチ適用を「従業員への手動アナウンス」に頼る運用では、適用状況の網羅的な確認ができず、情報漏えいやマルウェア感染の温床となる「死角」を社内ネットワークに生み出してしまう。
金融や公共分野などのシステム開発を手掛けるシステムインテグレーターのアイオスも、「Excel管理の限界」に直面していた。約430台の端末が自社内や拠点、客先常駐先、テレワークなど多様な環境で稼働する中、手動管理による実態把握の難しさと、パッチ適用確認の運用負荷が課題になっていた。
経営層からのセキュリティ強化要求を背景に、アイオスはいかにしてマンパワーに頼る管理体制を見直し、従業員の業務を妨げずにガバナンスの効いた運用体制を構築したのか。
手動案内の限界から脱却し、従業員の意識を変えた“ある仕掛け”
アイオスは、保有する約430台のIT資産管理とセキュリティ対策強化を目的に、クオリティソフトのクラウド型IT資産管理・セキュリティ対策ツール「ISM CloudOne」を採用した。2026年8月4日、クオリティソフトが発表した。Microsoft Excelによる手動管理から脱却し、テレワークや客先常駐など多様な環境下における端末稼働状況のリアルタイムな可視化と脆弱性チェックの自動化を図る。
アイオスは金融や公共、社会インフラなどの運用組織のITインフラを支えるシステムインテグレーターだ。自社内や拠点、客先常駐先、テレワークなど、約430台の端末がさまざまな環境で稼働している。従来はIT資産管理ツールを運用しておらず、Microsoft Excel台帳による手動管理を実施していたため、利用実態の正確な把握や管理の属人化が課題となっていた。OSのパッチ適用も手動での案内に頼っており、脆弱性対策における運用負荷や情報漏えいリスクへの対処が急務となっていた。
オフィス移転に伴うサーバルーム撤去を契機として、アイオスは全社的なクラウド移行の方針を決定した。比較検討に当たっては、システム開発に携わる従業員の多さを踏まえて、端末のパフォーマンスに影響を与えない負荷の軽さを重視した。一元管理、長期ログ保管、デバイス制御、パッチ管理といった必要な機能が網羅されている点やコストパフォーマンスの高さを評価し、ISM CloudOneの選定に至った。
ISM CloudOneの導入によって、場所を問わず端末情報が自動収集され、稼働状況がリアルタイムに可視化されるようになった。端末起動時の自動チェックとアラート表示により脆弱性が可視化され、管理工数の削減に加え、従業員が自発的に更新を実施する意識変容にもつながっている。ワークフロー機能を活用した外部デバイスの制御を導入し、業務上の利便性を維持しながら持ち出しログの管理やガバナンス強化を実現した。
アイオス システム革新グループグループ サブマネージャーの飯島志能氏は、最大の効果として、端末を起動するたびに脆弱性チェックが自動で入ることによって、従業員のセキュリティ意識が大きく変わったことを挙げる。これによって、以前のような一方通行のアナウンスではない双方向の運用ができるようになったと評価している。同グループメンバーの小栗大輝氏は、「操作ログはトラブル時の解析だけではなく、プロジェクト参画中の稼働状況の確認など、業務可視化の手段としても活用し始めている」と語る。
今後は、約100台あるスマートフォンの管理を情報システム部門に移管し、MDM(モバイルデバイス管理)機能による一元管理を進める計画だ。モバイルデバイスのセキュリティレベル向上を図る他、自社RPAとの連携による運用自動化や、ログイン管理のさらなる強化も検討する。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「アイオス、端末管理クラウド化で430台可視化 脆弱性チェック自動化でセキュリティ強化」(2026年8月4日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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