「二重入力」「情報共有の遅れ」はなぜ放置されるのか
「今のやり方で回っている」が改善を止める 営業事務221人が語る非効率の実態
NTTデータビジネスブレインズは、営業事務経験3年以上の実務担当者221人を対象としたデータ共有の壁による"チーム連携の分断"の実態に関する調査結果を発表した。
日々の業務に非効率を感じ、上司や周囲に改善を提案する。しかし、提案したからといって、実際の改善につながるとは限らない――。NTTデータビジネスブレインズが実施した調査から、営業事務の現場で業務改善が進みにくい実態が明らかになった。
同社は2026年8月21日、営業事務経験3年以上の実務担当者221人を対象に実施した、「データ共有の壁による『チーム連携の分断』」アンケート調査の結果を公開した。調査期間は2026年7月3~4日。
営業担当者との情報共有やデータ入力、部門間の連携などに非効率を感じる現場は少なくない。では、業務改善を提案した担当者が直面した経験の中で、最も多かったものは何だったのか。
業務改善を提案した結果、何が起こった?
調査では、日々の業務の非効率さを感じ、上司や周囲に業務改善を提案した際の経験を複数回答で尋ねた。その結果、最も多かったのは「具体的な動きができず、立ち消えになった」の30.4%だった。
次いで、「これまでに業務改善を提案したことはない」と「予算や人手が確保できないと言われた」がそれぞれ28.0%、「『今のやり方で回っているから』と後回しにされた」が26.7%だった。
一方、「提案した内容通り、改善してもらえた」と回答した割合は9.3%にとどまった。
この結果からは、現場が課題を認識して改善を提案しても、実行段階に進めないケースが少なくないことが分かる。予算や人手の不足だけでなく、「現状でも業務が回っている」という判断が、改善を先送りする要因になっているようだ。
61.3%がデータの「手直し」に負担
調査では、営業事務の現場で具体的にどのような非効率が発生しているのかも尋ねた。
「集計前に英数字の半角、全角の統一や手直し(データクレンジング)をする負担を感じるか?」と尋ねたところ、「やや感じる」は50.0%、「強く感じる」は11.3%だった。合わせて61.3%が負担を感じていることが分かった。
入力ルールが統一されていなければ、営業事務担当者が集計のたびに表記ゆれなどを修正する必要がある。本来はデータを活用するための集計作業でも、その前段階で「データを使える状態に整える作業」が発生していることになる。
半数で二重入力、部門間の連携にも課題
他部署とのシステム連携でも手作業が残っていることが、調査から明らかになった。
「他部署(経理、マーケティング等)とのデータ連携で、利用するツールを連携できなかったり、フォーマットが異なったりすることで二重入力が発生しているか」と尋ねたところ、「たまに発生している」が43.2%、「頻繁に発生している」が7.0%で、合計50.2%が「発生している」と答えた。
部署ごとに異なるシステムやファイルを利用していれば、同じ情報を別のシステムへ入力し直したり、データ形式を変換したりする作業が必要になる。単なる二度手間だけでなく、転記ミスなどを招く可能性もある。
また、チームや部門ごとにデータが個別管理され、会社全体のリアルタイムな営業数値や案件進捗を把握しにくいと感じている人も56.7%に上った。
営業の入力遅れが顧客対応にも波及
データ連携の問題は、社内作業だけにとどまらない。
営業担当者が進捗をリアルタイムに入力せず、後からまとめて入力することで、事務側の処理や対応が遅れることについて、「たまにある」は44.6%、「よくある」は7.1%だった。合わせて51.7%が入力遅れによる影響を経験していることが分かった。
さらに、営業担当者とのファイル共有のタイムラグや連携ミスが原因で、顧客への対応が遅れたり、不備が発生したりした経験についても、「たまにある」は35.6%、「よくある」は7.3%で、合計42.9%に上った。
この結果からは、社内で情報共有が遅れることで、その影響が顧客対応まで波及している実態がうかがえる。
「今も回っている」業務をどう改善するか
今回の調査で注目したいのは、営業事務の現場が非効率を認識しているにもかかわらず、改善提案が必ずしも実行につながっていない点だ。
データクレンジングや二重入力、複数ファイルからの手集計といった作業は、一つ一つを見ると小さな手間に見える。また、担当者が手作業で補うことで、業務そのものは止まらずに済む。その結果、「今のやり方でも回っている」と判断され、改善の優先順位が下がっている可能性がある。
しかし、人手による補正や転記を前提にした運用を続ければ、担当者の負担は積み重なる。異動や退職によって業務のやり方が分からなくなる属人化や、入力ミスなどのリスクにもつながる。
今回の調査結果と類似の課題を抱えている企業の情報システム部門には、現場から寄せられた改善要望を個別の「作業効率」の問題として捉えるだけでなく、データの入力ルールやシステム間連携、部門ごとのファイル管理など、業務プロセス全体の問題として捉え直すことが求められそうだ。
本稿は、NTTデータビジネスブレインズが2026年8月21日に公開した【2026年調査】営業事務のデータ連携・分断の実態|221人中61.3%が「データクレンジング」に負担(PR Times)と、【2026年調査】営業事務のデータ連携・分断の実態|221人中61.3%が「データクレンジング」に負担(スロープベース)を基に作成しました。
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