1回50秒短縮が生む接遇品質の向上
手入力の限界をAI対話解析で突破 ウエルシア約2000店が全社展開した音声DX
ウエルシア薬局が約2000店舗にAI音声薬歴システムを導入した。接客対話を録音して自動で要約作成することで、1回あたり50秒の作業短縮を実現。現場の入力負担を激減させた店舗DXの具体策に迫る。
患者への丁寧な服薬指導に時間を割きたい一方で、指導が終わるたびに発生する薬剤服用歴(薬歴)の入力作業に追われる――。調剤現場が抱えるこの慢性的な課題に、大手ドラッグストアチェーンが大規模な自動化に踏み切った。
ウエルシア薬局は調剤業務を行う1949店舗を対象に、接客対話を録音してAIが自動で薬歴を記録するシステムを導入した。1回あたりの作成時間を平均50秒削り、単なる作業効率化にとどまらない現場の変革を引き出した音声DXの全容とは。
約2000店舗に一斉導入、対話録音から「SOAP形式」で下書きを自動生成
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ウエルシア薬局が導入したのは、カケハシが提供する「AIアシスタント 音声薬歴生成機能」を活用したAI音声薬歴システムだ。調剤業務を手掛ける全1949店舗を対象に展開した。
従来の薬歴作成は、薬剤師が記憶を頼りに専用端末へ手入力するか、指導後にマイクへ向けて音声入力したデータをテキスト化する方式が主流だった。新システムでは、調剤カウンターに設置した集音マイクで患者との対話を直接録音する。AIがその音声を即時に解析し、医療現場で標準的な「SOAP」(S:主観的情報、O:客観的情報、A:評価、P:計画)形式で薬歴の下書きを自動作成する仕組みだ。
1回50秒の作業短縮、先行27店舗の検証を経て全国展開へ
本導入に先立ち、同社は2023年9月から関東8店舗、西日本10店舗、東海9店舗の計27店舗で段階的な試験運用を実施。検証の結果、1回あたりの薬歴記載時間が平均で50秒短縮されたことが確認できたため、本格的な多店舗展開を決定した。
試験導入に参加した店舗の薬剤師からは、「音声記録が残るため、過去に行った服薬指導の内容も確認でき、より正確な情報に基づき、丁寧かつ充実した説明ができるようになった」「以前と比べて患者さまのお話をゆとりをもって長い時間おうかがいすることができるようになった」といった声が上がっている。入力業務の負担を減らすことで、対面コミュニケーションに注力できる環境が整いつつある。
同社はグループ全体で「2030年に地域No.1の健康ステーションの実現」を掲げており、今後もデジタル技術の活用を進め、地域医療に貢献する店舗展開を目指すとしている。
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