経費精算が“二重入力”の温床に
“SaaS導入してもExcel転記”を56.6%が経験 「二重入力」を止められない理由
オロは、全国の事務系会社員433人を対象に「二重入力」に関する調査を実施した。56.6%が、デジタル化やSaaS導入が進む中でも二重入力を経験している実態が明らかになった。二重入力はなぜ終わらないのか。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中でも、「SaaSは使っているけどデータはExcelへ転記する」「同じ内容を複数のシステムに入力している」といった“二重入力”に悩む現場は少なくないようだ。
ITベンダーのオロが実施した調査によると、全国の事務系会社員の56.6%が、職場で二重入力が「頻繁にある」「たまにある」と回答した。デジタル化が進んでも、業務システム同士の分断や部門ごとの管理方法の違いによって、同じ情報を何度も入力せざるを得ない実態が浮かび上がった。「二重入力」がなくならない理由は何か?
「二重入力」がなくならない最大の理由
調査では、「二重入力が発生している」と回答した245人に対し、その原因を聞いた。
最も多かったのは、「複数のシステムがあり、連携されていない」(23.7%)だった。次いで、「部門ごとに管理方法が異なる」(18.0%)、「SaaSを導入しているがExcelも併用している」(15.9%)、「紙や手書き業務が残っている」(15.5%)と続いた。
この結果から見えてくるのは、単純な“IT化不足”や”個人の工夫不足”が二重入力の原因とは言い切れない実態だ。システムや業務プロセスが部門単位で最適化され、全体としてつながっていない構造があるため、SaaSを導入しても、既存のExcel運用や紙業務が残れば、現場では結局“転記作業”が発生する。
つまり、個別ツールの導入だけではDXは完結せず、システム連携や業務設計まで含めて見直さなければ、非効率は残り続ける可能性がある。
「経費精算」が二重入力の温床に
二重入力が発生している業務として最も多かったのは、「経費精算」(32.7%)だった。以下、「請求書・売上処理」(28.2%)、「予実管理・会議資料作成」(26.1%)、「工数・プロジェクト管理」(23.2%)、「営業案件管理・商談履歴・見積」(20.8%)などが続いた。
この結果からは、特定業務だけではなく、バックオフィス全体で二重入力が常態化していることがうかがえる。特に経費精算や請求処理のように、複数部門や会計システムをまたぐ業務では、「一度入力した内容を別システムへ転記する」作業が発生しやすいと考えられる。
オロのクラウドソリューション事業部 マーケティンググループ長、吉井惇 氏は、「業務やシステムが部門ごとに部分最適化され、同じ情報を複数の場所で管理せざるを得ない構造」が背景にあると分析する。
同氏は、二重入力を減らすには、案件・工数・売上・原価といった業務データを一元管理できる基盤整備が重要だと指摘。その上で、単一ツールですべてを完結させるのではなく、周辺システムと柔軟につながるAPI連携の重要性が今後さらに高まるとの見方を示した。
さらに今後は、AIエージェントが複数システムへの登録や更新作業を代行する場面も増える可能性がある。だがその前提として、システム間でデータが適切に連携できる業務基盤を整備できるかどうかが、DX推進の成否を左右しそうだ。
調査の題名は「働き方意識調査2026『二重入力』―DX時代の業務実態―」。全国の事務系会社員433人を対象に2026年3月、インターネットで実施したものだ。なお、本調査における「二重入力」は、同じ内容を複数のシステムやExcel、紙などへ再入力・転記する業務を指す。
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