GMO Flatt Securityが分析
npmやPyPIなどで悪性パッケージ約3万1000件 開発端末から秘密鍵を奪う手口
脆弱性対策や機能追加のために開発者が実行する利用ライブラリの更新。その日常的な作業を狙うサプライチェーン攻撃が急増している。なぜ安全なはずのパッケージ取得で被害が拡大するのか。
ソフトウェア開発において脆弱(ぜいじゃく)性対策を目的とした高頻度な更新が求められる中、正規のパッケージ更新作業を狙うソフトウェアサプライチェーン攻撃が常態化している。影響の大きい侵害事案は報道されるものの、小規模な悪性パッケージの公開状況やその技術的な活動実態について、定量的に把握するための情報は不足しがちだ。
セキュリティサービスベンダーのGMO Flatt Securityは、パッケージレジストリの継続的な観測を通じて得たデータを分析し、「ソフトウェアサプライチェーン 脅威レポート 2026」を公開した。調査の期間は2026年2月19日から8月18日までの181日間だ。調査対象集団として「npm」「PyPI」「RubyGems」「Go Modules」「crates.io」「Packagist」の6つの主要レジストリを選定し、パッケージの検体数は約1900万件に上る。解析の結果、利用者への配布をやめるべきと判断された悪性パッケージは約3万1000件検出された。
攻撃者が利用者の開発端末からどのような機密情報を探索し、連鎖的な侵害を広げているのか、レポートが明らかにした詳細な攻撃の手口と対策の要点を解説する。
開発端末から「秘密鍵」が奪われる?
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開発現場が気を付けるべき新たなリスク
レポートによると、ソフトウェアサプライチェーン侵害の手法は段階的に変化している。2024年以前は、コンパイラやビルド工程への侵入、正規の保守担当者としての信頼を獲得した上で公開権限を取得するアプローチが主流だった。これに対して2025年から2026年にかけては、既存の保守担当者のアカウントやCI(継続的インテグレーション)システムを直接侵害し、パッケージの改変と再公開を短時間で実行する手法へと移行している。公式の公開プロセスや認証システムが直接狙われるため、利用者が悪質なソースコードの混入に気付くことが難しくなっている。
観測データの分析によって、悪性パッケージの公開は特定時期に集中するのではなく、日常的に継続していることが判明した。レポートが指摘する典型的な手口は、パッケージ導入時のインストール処理や読み込み処理を起点とするものだ。パッケージ導入直後に起動する小さなプログラムが、外部の通信先から難読化された主要な攻撃プログラムを取得し、実行する。
実行されたプログラムは、開発端末やCIシステム内に保存されている機密情報を探索する。標的となるのは、SSHの秘密鍵、クラウドインフラの管理権限、パッケージの公開権限といった業務関連の認証情報だ。加えて、Webブラウザに保存されたパスワードや暗号資産ウォレットの秘密鍵など、開発者個人の資産も同時に窃取される。獲得した公開権限を用いて別のパッケージを自動的に改変し、新たな悪性バージョンを再公開する「ワーム型」の活動も確認されている。これによって、一度の侵害が次なる侵害を生む連鎖構造が構築されている。
技術的に関連する検体を活動群として分類すると、正規パッケージから感染を広げるワーム型と、新しい名称を用いて公開を繰り返す「量産型」に大別される。特定の正規公開者アカウントの侵害を発端とする大規模な活動群では、その管理者が更新可能な複数の既存パッケージに対して悪性バージョンが連鎖的に公開された。
防御機構の選定理由と対策の判断軸
こうした継続的な脅威に対し、開発現場ではパッケージを取り込む過程に検査機構を組み込むことが必須になっている。対策の選択肢として、パッケージ公開から一定期間が経過するまで取得を保留する仕組みが挙げられる。これによって、公開直後に削除される悪性パッケージを回避できるようになる。ただし、脆弱性の修正版を迅速に取り込む目的とは相反する他、長期間削除されない検体への対処が不十分になるという課題が残る。
そのため、開発現場が採用する防御の判断軸は、パッケージのダウンロード段階での動的な検査と遮断へと移っている。GMO Flatt SecurityのセキュリティAIエージェント「Takumi byGMO」の「Guard」機能は、2026年8月時点での1日当たりの検査件数が約5000万件を超過したという。相次ぐ侵害事案を受け、悪性パッケージを開発端末の到達前に防ぐ水際対策の需要があることがうかがえる。
今後の展望とエコシステム全体の課題
ソフトウェア供給網を標的とした攻撃は、自動化手法の共有や攻撃コードの公開も相まって、今後も継続的に発生することが想定される。単一の手段で全ての侵入経路を遮断することは困難であり、開発環境全体での多層的な防御が必要だ。
パッケージを公開する組織には、多要素認証の有効化や、CIシステムにおける権限の分離といった厳格な認証・承認機構の導入が求められる。パッケージの利用者も、導入前の水際対策に加えて、システム構成における隔離や監視体制の構築が不可欠だ。パッケージの取得履歴やプロセス起動状況を記録し、万が一侵入を許した場合でも影響範囲を早期に特定できる状態を維持することが重要だ。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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