ランサムウェアと誤操作リスクにどう備えるか

「統制不能な私物PC」から重要データを守る 東京農大のバックアップ選定基準

約60人の学生や教員が私物PCでファイルサーバにアクセスし、毎年人が入れ替わる東京農大の研究室。厳密なセキュリティ統制が困難な条件下で、ランサムウェアや誤操作によるデータ消失をどう防いでいるのか。

 企業や教育機関のシステム管理者にとって、エンドポイントの厳格な統制は絶えず付きまとう課題だ。特に、多数のエンドユーザーが自身の裁量で私物デバイスをネットワークに接続するシステム構成では、管理者の目の届かないところでセキュリティインシデントのリスクが常に潜んでいる。

 植物のゲノム解析を進める東京農業大学の農学部生物資源開発学科遺伝情報利用研究室も、まさにそうした「統制が困難な条件」を抱える組織の一つだった。同研究室は、世界各地の素材植物の遺伝子情報を詳細に解析するため、膨大なデータを取り扱っている。既存のファイルサーバに加えて、66TBに及ぶ大容量のクラウドシステムを研究用インフラとして併用してきた。

 最大の懸念事項となったのは、重要データへのアクセス手段だ。研究室のファイルサーバには、約60人の学生と教員が個人所有のPCからアクセスし、USBメモリも頻繁に使用されている。毎年新しい学生が配属されるという組織構造上、教育やルールによる厳密なセキュリティ設定の徹底には限界があった。

 このような条件下では、学生の誤操作による重要ファイルの上書きや削除、あるいは持ち込まれたデバイスを経由したランサムウェア(身代金要求型マルウェア)などのマルウェアの侵入といった事態を、「必ず起こり得るインシデント」としてあらかじめ想定せざるを得ない。遺伝情報利用研究室は、電子的破壊を前提とした多重の保護策を講じるためのシステム見直しに着手した。

回避困難な「人為的ミス」と「サイバー攻撃」にどう備えるか

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