『【令和8年度】 いちばんやさしい 基本情報技術者』出張版
【基本情報技術者試験】メモリ不足でもアプリが動くのはなぜ? OSを支える「仮想記憶」
ITの基礎理論から経営・マネジメントまで幅広い知識が問われる国家資格「基本情報技術者試験」。IT担当者が直面しやすいテーマを取り上げ、図解を交えながら実践的な知識を解説します。今回は、記憶装置を効率的に利用する「記憶管理」機能について解説します。
「基本情報技術者試験」は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施し、経済産業省が認定する国家試験です。「ITエンジニアの登竜門」として知られていますが、ITの基礎だけではなく、プロジェクトマネジメントや経営戦略、関連法規、会計など、ITをビジネスに活用するための幅広い知識が問われるのが特徴です。そのため、エンジニアのみならず、企業のIT担当者やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に関わるビジネスパーソンにとっても、実務に直結する知識を体系的に学べる資格として重要視されています。
本記事はSBクリエイティブ刊『【令和8年度】 いちばんやさしい 基本情報技術者 絶対合格の教科書+出る順問題集』(高橋 京介 著)から、IT担当者が日々の業務で直面しやすい重要テーマをピックアップし、図解を交えながら解説します。今回は、記憶装置を効率的に利用する「記憶管理」機能について解説します。
(3)記憶管理
記憶管理とは、記憶装置を効率的に利用するための機能です。
記憶管理はさらに、主記憶装置を管理する「主記憶管理」と、仮想記憶を管理する「仮想記憶管理」の2つに分類されます。
なお、基本情報技術者試験では仮想記憶管理が頻出です。そこで、ここでは仮想記憶管理のみを解説します。
仮想記憶管理
仮想記憶管理とは、補助記憶装置の一部をあたかも主記憶装置であるかのように扱う方式です。この方式を利用すると、プログラムが主記憶装置の容量を超える大きさの場合に、そのプログラムを仮想記憶上に格納することで、実行できるようになります。
仮想記憶管理では、OSが「論理的な記憶領域」を作ります。この「論理的な記憶領域」のことを仮想記憶といいます。これに対して、主記憶装置上の「物理的な記憶領域」のことを実記憶といいます。
仮想記憶管理はさらに、セグメンテーション方式とページング方式の2つの方式に分類されます。
セグメンテーション方式
セグメンテーション方式とは、仮想記憶と実記憶をセグメントと呼ぶ可変長の領域に分割して管理する方式です。
なお、基本情報技術者試験では、この方式よりも、ページング方式のほうが出題頻度が圧倒的に高いので、ページング方式についてのみ、詳しく解説します。
ページング方式
ページング方式とは、仮想記憶と実記憶をページと呼ぶ固定長の領域に分割して管理する方式です。ページング方式については、次ページの図を見ながら解説を読み進めてください。
仮想記憶と実記憶の各ページには、先頭から順にアドレスが割り振られるのですが、仮想記憶のアドレスのことを「仮想アドレス」と呼び、実記憶のアドレスのことを「物理アドレス」と呼びます。
仮想アドレスと物理アドレスは「ページテーブル」と呼ばれる表によって対応付けられます。ページテーブルは、仮想アドレスと物理アドレスを示す2つの列があり、それぞれに以下の値が割り当てられます。
- 仮想アドレスを示す列には、仮想記憶の仮想アドレスと同じ番号
- 物理アドレスを示す列には、実記憶の物理アドレスと同じ番号
なお、仮想記憶の各ページとページテーブルの各行は1対1で対応付けられるため、仮想記憶にあるページの総数とページテーブルの行の総数は同じになります。
CPUがページにアクセスする流れ
ページング方式でCPUが目的のページにアクセスする流れを説明します。上図を見ながら確認してください。
ここでは例として、CPUがプログラムの実行中に「ページA」が必要になったとしましょう。
- まず、CPUは仮想記憶の「ページA」にアクセスする。「ページA」の仮想アドレスは「1」なので、ページテーブルにある仮想アドレスが「1」の行にアクセスする
- 続いて、その行の物理アドレスは「2」なので、実記憶にある物理アドレスが「2」のページにアクセスする
- CPUは「ページA」の実体にアクセスすることができる
ページインとページアウト
もし「プログラムを実行するために必要なページ」が実記憶に存在しない場合、ページフォールトという割込みが発生します。ページフォールトとは、実記憶に存在しないページへのアクセスによって起こる割込みです。
この割込みが発生すると、OSは「プログラムを実行するために必要なページ」を補助記憶装置から実記憶へ読み込みます。この動作をページインといいます。
一方、実記憶に空きページがない場合は、実記憶から外すページを1つ選び、そのページを実記憶から補助記憶装置へ書き出します。この動作をページアウトといいます。空きページを確保できたら、補助記憶装置から実記憶に必要なページを読み込みます(ページイン)。
ページの置き換えアルゴリズム
ページアウト・ページインはできるだけ発生しないほうがCPUの処理効率は高まります。つまり、頻繁に使うページはできるだけ実記憶に残しておき、めったに使わないページを実記憶から外すことが望ましいといえます。
どのページを実記憶から外すのかを決めるためのアルゴリズムのことを「ページの置き換えアルゴリズム」といい、アルゴリズムは全部で3種類あります。
| 方式 | 説明 |
|---|---|
| LRU | 最後に参照されてから最も長い時間が経過したページ(使われていない時間が最も長いデータ)を置き換える。Least Recently Usedの略。 |
| LFU | 参照頻度が最も少ないページを置き換える。Least Frequently Usedの略。 |
| FIFO | 読み込んでから最も長い時間が経過したページを置き換える。First In First Outの略。 |
なお、上記の3つの違いを文章だけで理解するのは困難です。以下に具体例を示すので、併せて確認してください。図を確認すると、それぞれの違いがよくわかります。なお、以下のような表は基本情報技術者試験でも出題されることがあるので、ここで慣れておいてください。
下図は、A〜Cまでの3つのページを時刻0:00から順に実記憶へ読み込んだ状態を示す表です。
上記のような状況において、各アルゴリズムを採用したときに追い出されるページは次のとおりです。
- 【LRUの場合】ページB:最後に参照した時刻が最も古いため
- 【LFUの場合】ページC:参照回数が最も少ないため
- 【FIFOの場合】ページA:主記憶に最も先に読み込んだため
なお、基本情報技術者試験に出題されるのは主に「LRU(Least Recently Used)」です。
スラッシング
スラッシングとは、仮想記憶管理において、割り当てられる実記憶の容量が小さいときに、ページアウトとページインが頻繁に起こる現象です。
実記憶の容量に比べて扱うデータが大きければ、空きページがなくなります。先述したように、実記憶に空きページがなければ、OSはページアウトとページインを頻繁に行わなければなりません。
スラッシングが発生するとコンピュータ全体のスループット(処理能力)が低下します。
(4)データ管理
ここまでに、4つあるOSの機能のうちの3つの機能を解説してきました。最後の1つは「データ管理」です。
データ管理とは、コンピュータが処理するデータを管理する機能です。具体的には、「ファイルシステム」や「バックアップ」などの機能です。これらの機能は、基本情報技術者試験においてとても重要なので、次項以降で詳しく解説します。
※この記事はSBクリエイティブ刊『【令和8年度】 いちばんやさしい 基本情報技術者 絶対合格の教科書+出る順問題集』から、アイティメディアが出版社の許可を得て一部加筆編集の上、転載したものです(無断転載禁止)。
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