通話データから漏えいも
通話録音の個人情報を自動で無音化 専用端末を無償貸与
情報漏えいを防ぐには、不正アクセス対策だけでなく、被害の影響を抑える備えも欠かせない。個人情報を大量に扱う組織では、通話録音の管理も課題だ。そこで重要なのが、情報を「持たない」セキュリティ対策だ。
情報漏えいのリスクを抑えるには、侵入を防ぐだけでは十分ではない。万一、攻撃者にシステムへの侵入を許した場合、どれだけの情報が流出する可能性があるのかという視点も必要だ。
個人情報を日常的に取り扱う自治体や公益法人では、保有するデータの量と内容がセキュリティ上のリスクに直結する。住民からの相談や問い合わせに対応する窓口では、業務の記録や応対品質の確認、担当者間の引き継ぎなどを目的に、通話録音を保存することがある。
録音には、氏名や住所、電話番号だけでなく、健康状態や生活状況など、慎重な取り扱いが必要な情報が含まれる場合もある。音声データは、テキスト化した記録とは異なり、会話の中に含まれる個人情報を1つずつ確認するのが難しい。録音が増えるほど、管理すべき情報も増える。
通話録音の個人情報を自動で無音化
そこで必要になるのが、記録として残すべき会話と、保管する必要のない個人情報を切り分けることだ。
ただし、録音を一件ずつ聞き直し、個人情報に該当する箇所を確認して加工する作業には相応の時間がかかる。相談対応などの日常業務を抱える自治体や公益法人の窓口にとって、こうした作業を人手だけで継続するのは負担が大きい。
こうした課題に、エクサウィザーズのグループ会社であるスタジアムは2026年11月2日、自治体や公益法人などが運営する相談窓口を対象に、通話録音に含まれる個人情報を自動で特定・無音化する「個人情報ミュートPro」の専用端末を無償貸与すると発表した。民間企業で導入・利用実績のある同社の音声処理技術を、自治体や公益法人にも展開する。
個人情報ミュートProは、通話録音に含まれる氏名や住所、電話番号、口座番号などの個人情報を検出して、該当する発話区間を無音化した音声ファイルを出力する。音声データをクラウドや外部のAIサービスに送信せず、専用端末内で処理する点が特徴だ。相談内容そのものに個人情報が含まれるため、データを外部に送信せずに加工できることは、情報管理上の重要な要素になる。
録音全体を削除するのではなく、個人情報に該当する部分だけを無音化するため、業務記録として必要な会話を残しながら、保管する情報を減らせる。処理結果を確認した上で、追加の無音化や無音化の解除を手動で設定できる。
今回の取り組みでは、初回10団体を対象に、各団体へ専用端末を1カ月間貸与する。初期設定やオンラインでの操作説明、基本操作に関する問い合わせ対応も無償で提供する。募集期間は2026年11月2日から15日までで、製品版の契約や貸与終了後の有償契約は参加条件としていない。
スタジアムは、民間企業での導入実績がある技術を自治体・公益法人にも展開することで、限られた人員や予算の中でも、通話録音に含まれる個人情報の削減に取り組めるよう支援する考えだ。
「情報を守る」から「情報を減らす」へ 企業のセキュリティ対策も変わる
今回の取り組みが示すのは、サイバーセキュリティ対策で外部からの侵入を防ぐだけでなく、保有する情報を必要最小限にすることの重要性だ。
一般に、セキュリティ対策では、情報を保管するシステムの防御力を高めることに重点が置かれやすい。しかし、どれだけ強固な防御策を導入しても、攻撃者の侵入や内部不正、設定ミスが原因となる情報漏えいの可能性を完全になくすのは難しい。
そのため、被害を受けた場合に流出する情報をどこまで減らせるかという観点も重要になる。不要なデータを削除し、業務上必要な記録についても個人情報を可能な範囲で取り除いておけば、万一の際に影響を受ける情報の範囲を限定できる。
この考え方は、自治体や公益法人に限ったものではない。企業のコールセンター、カスタマーサポート、金融機関の問い合わせ窓口など、顧客との通話を録音する業務にも共通する課題だ。
顧客対応の品質の確認や従業員教育のために録音を長期間保存している企業では、録音の利用目的と保存期間が適切かどうかを見直す余地がある。業務上必要な会話を残しながら、氏名や連絡先、口座情報などを加工する仕組みがあれば、記録の有用性と情報管理の両立につながる。
サイバー攻撃への備えは、侵入を防ぐ仕組みを強化するだけでは不十分だ。攻撃者に奪われる可能性のある情報そのものを減らすことも、被害を抑えるための重要な対策になる。企業には、自社が「何を守るか」だけでなく、「そもそも何を持ち続ける必要があるのか」を問い直す姿勢が求められている。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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