「AIの効果なし」と感じる層が4割超
建設業のAI活用はなぜ「メール作成」止まりなのか 調査に見る“浸透の壁”
建設業でAI導入が進む一方、実用は「メール作成」「議事録作成」などに偏っている。アイピアの調査では約半数がAIを活用できず、効果を感じない層も多い。なぜ現場への浸透は難航しているのか。
人手不足や業務効率化の「切り札」として期待を集めるAI技術。しかし、建設業界における利用には、依然として大きな課題が残っている。
建設業向けシステムを手掛けるアイピアは2026年9月、25歳から60歳の建設業従事者834人を対象に「建設業におけるAI活用実態・意識調査」を実施した。それによると、約半数が「AIを活用できていない」または「よく分からない」と回答した。AIブームの影で、なぜ現場への浸透は足踏みしているのか。調査データから浮かび上がった普及の壁と、現場が真に求める「実務特化型AI」に迫る。
現場のAI導入を阻むハードル
建設業でのAI活用の現状を見ると、現場や自社の業務でのAI活用を実施中、あるいは検討中の層は48.1%に上る。内訳は、「一部の業務で活用している」が22.7%、「積極的に活用している」が10.7%、「試験的に活用している」が7.8%、「AIについて勉強中・活用を検討している」が6.9%だ。一方で、「現時点では活用していない」が38.4%、「AIについてよく分からない」が13.5%となり、半数以上がAI活用に至っていない状況も示された。
活用用途については、「文書・メールの作成」が31.6%で最多だ。次いで「議事録・報告書などの作成」が24.2%、「情報収集・調査」が19.9%と続く。調査時点でのAI活用は一般的な事務作業の補助が中心であることが分かる。対照的に、「図面・設計業務」は7.9%、「見積もり・積算業務」は7.6%、「原価・利益管理」は5.3%にとどまっており、建設業務の中核領域ではAIツールの浸透が遅れている。
AIツールを活用して得られた効果としては、「業務時間の短縮」が33.5%、「書類作成・事務作業の負担軽減」が26.2%、「情報収集・検索の効率化」が16.2%と上位に並ぶ。事務作業の効率化には一定の成果が出ているものの、「特に効果を感じていない」との回答も42.6%に達しており、恩恵を享受できている層とそうでない層に分かれている。
導入や運用を阻む課題として最も多く挙げられたのは、「AIを活用できる人材・知識が不足している」で32.1%だった。「AIの回答・判断の正確性に不安がある」が20.4%、「AIを活用すべき業務が分からない」が18.7%、「情報漏えい・セキュリティ面に不安がある」が14.4%、「導入・運用コストが負担になる」が13.4%と続く。現場における知識の欠如や、出力結果の正確性に対する不安が、本格的な業務適用の障壁になっている。
現場が真に求める「実務特化型」の支援機能
活用状況には課題が残るものの、今後のAI活用に対する現場の意欲は決して低くない。今後のAI活用意向を尋ねた設問では、「できれば進めたい」が27.7%、「積極的に進めたい」が14.6%となり、合計42.3%が前向きな姿勢を示す。「どちらともいえない」の20.7%を加味すると、多くの従事者がAIの導入に関心を寄せる。
現場の従事者は、システムにどのような機能を求めているのか。建設業向けの業務システムに搭載してほしいAI機能を問う設問では、「過去の案件・見積もりデータを基にした見積もり・金額提案」が26.9%を集め、トップとなった。次いで「入力内容のチェックや入力漏れ・ミスの指摘」が25.5%、「報告書・議事録・メールなどの文書作成支援」が23.8%、「工事写真の整理・分類・分析」が21.4%、「工事の進捗(しんちょく)状況・スケジュールの分析」が21.1%という結果だ。
このデータから読み取れるのは、汎用(はんよう)的なテキスト生成用途だけではなく、業務プロセスに直結した支援機能への強いニーズだ。過去の業務データを利用した見積もりの精度向上、ヒューマンエラーを防ぐための自動チェック機能など、実務の品質と効率を引き上げる仕組みが求められている。
業務データとAIの連携が普及の鍵を握る
本調査結果から見えるのは、建設業におけるAI活用が「一般的な事務処理の効率化」から「固有の実務プロセスの高度化」へと向かう過渡期にある事実だ。調査が実施された2026年9月時点では、文書作成などの身近な業務での利用が中心である一方、現場が真に求めているのは建設業務そのものを支援する仕組みだ。
現場が期待する「過去データに基づく見積提案」や「入力ミスの自動検知」といった高度な機能を実現するには、汎用AIツールを導入するだけでは機能しない。社内に蓄積された過去の案件情報、顧客データ、見積もりや原価に関する情報とAIツールを連携させて、業務プロセスに即した形で活用できる仕組みを整えることが必須だ。
同時に、最大の課題として挙げられた人材不足や知識不足を補う取り組みも求められる。正確性やセキュリティ面への懸念を払拭するためには、システムでデータの安全性を確保しつつ、特別な専門知識がなくても直感的に操作できる設計が必要だ。建設業におけるIT戦略において、日々の業務データを蓄積・管理するシステムの構築と、それに連動する実用的なAI機能の実装が、生産性向上の鍵を握る。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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