人は複雑な問い合わせに集中
顧客問い合わせ解決率85%を達成 Qantas Loyaltyに学ぶ次世代サポ―ト体制
Zendeskは2026年7月、Qantas LoyaltyによるAIエージェントの導入事例を公開した。運用開始から2週間で問い合わせの自動解決率60%を達成し、ピーク時には85%に達するなど、顧客対応のスマート化を推進している。
カンタス航空のグループ企業Qantas Loyaltyは、会員向けサポートを効率化するため、ZendeskのAIエージェントを導入した。運用開始から2週間で自動解決率60%を達成し、ピーク時には85%に達した。Zendeskが2026年7月6日に導入事例を公開した。
Qantas Loyaltyは、アジア太平洋地域で最大級の会員プログラムを運営している。約1700万人のカンタス・フリークエントフライヤー会員が、ECサイト「Qantas Marketplace」や「Qantas Wine」などでポイントを獲得、利用している。
会員数やEC事業の拡大に伴い、サポート部門に寄せられる問い合わせも増えていた。同社は毎月、ボットやフォームなどを通じて約3000件の問い合わせを処理しているほか、電話窓口には約7000件の着信がある。Zendeskの導入以前、Qantas Loyaltyはどのような課題を抱えていたのか。
Qantas Loyaltyが抱えていた課題とは
Qantas Loyaltyによると、問い合わせの中には、FAQやナレッジベースを参照すれば解決でき、人間の担当者が対応する必要のない一般的な質問も多い。
一方、人による対応が必要な問い合わせでは、会員に関する情報が分散しているため、担当者への引き継ぎが円滑に進まないケースがあった。必要な情報を確認するため、会員と担当者のやり取りが何度も往復し、1回の対応で解決できないことが課題だった。
そこでQantas Loyaltyは、AIエージェントの活用に当たり、2つの目標を掲げた。1つは、一般的な質問を自動で処理し、人間が対応する問い合わせを減らすこと。もう1つは、会員情報を集約した上で適切な担当者に引き継ぎ、解決までの時間を短縮することだ。
チケット管理、AI、ナレッジを連携
Qantas Loyaltyは、Zendeskを主に3つの用途で利用している。
1つ目は、問い合わせを一元管理するチケット管理システム。2つ目は、同社が運営するプラットフォーム3つにチャットbotとして展開するAIエージェントとしてだ。AIエージェントは、寄せられた問い合わせの内容を判断し、自動回答するか、人間の担当者に引き継ぐかを振り分ける。
3つ目は、FAQや解説記事を蓄積したナレッジベースだ。FAQや解説記事を蓄積したナレッジベースは、会員向けWebサイトで公開するほか、閲覧権限を設定し、社内の従業員やパートナー企業にも提供している。
チケット管理、AIエージェント、ナレッジベースを1つのシステム上で連携させることで、会員が自ら回答を探せるほか、AIエージェントがナレッジを基に質問へ回答できる体制を整えた。
当初目標の約2倍となる自動解決率
Qantas Loyaltyは、導入当初、自動解決率を30~35%程度と見込んでいた。実際には、運用開始から最初の2週間で60%に達し、ピーク時には85%まで上昇した。
特に、FAQなどで回答できる一般的なナレッジ系の問い合わせでは、月によって解決率が95%以上、あるいは90%台後半に達したという。AIエージェントが単に問い合わせチケットを終了させるのではなく、利用者の疑問そのものを解決している点も成果としている。
同社は、AIエージェントが対応した問い合わせを検証し、回答内容やナレッジを継続的に調整している。対応事例を見直すほど回答精度が高まり、自動解決率も向上するという。
人は複雑な問い合わせに集中
一般的な質問への回答と問い合わせの振り分けをAIエージェントが担うことで、個別の事情を踏まえた丁寧な対応や、複数部門との連携が必要な問い合わせに人間の担当者が集中できるようになった。
Qantas Loyaltyのルカ・ジャッカルディ氏(eコマースのシニア・オペレーションズ・エクセレンス)は、AIエージェントを改良し、対応事例を見直すほど精度と解決率が向上すると説明する。
同社は今後も、AIエージェントの調整とナレッジベースの改善を続け、約1700万人の会員に対するデジタルサポート体制を強化する方針だ。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「Qantas Loyalty、Zendesk導入で定型問い合わせを自動化 解決率85%を達成」(2026年7月7日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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