ERPと連携したECM活用が次世代のコンテンツ管理基盤に――オープンテキスト:NEWS
オープンテキストはECM製品に関する戦略説明会を開催。来日したCEOのジョン・シャクルトン氏らが市場動向を踏まえた今後の企業コンテンツ管理の在り方を説いた。
オープンテキストは2月23日、ECM(電子データ/文書管理)製品に関する戦略説明会を開催した。主に欧州や北米企業で先行導入されているというECMだが、同社では今後、スマートフォン普及率の高い日本においてもECMの活用が重要だととらえている。
企業が管理すべきデータの多くは電子メールやCADで保存した非構造化データであり、その利用形態は従来の社内固定型アクセスからデバイスに依存しないサービス利用(SaaSなど)へと移行している。同社によると、その起爆剤となっているのがiPhoneやAndroidケータイのようなスマートフォンで、従来はERPのみで管理できたデータも、効率化/ROI改善/情報漏えいなどのリスク軽減といった観点から、ECMでの管理が求められるという。
数あるECMベンダーの中でも、同社の強みはマイクロソフトやオラクル、SAPといったパートナー企業との連携だ。中でもERPを提供するSAPとは、国内でも密な製品連携を図っている。カナダOpen Text最高マーケティング責任者のジェームズ・レーサム(James Latham)氏はECM製品の新たな提供方法として、文書管理製品、コンテンツライフサイクル管理製品に加え、ユーザーの利便性を意識したという品質管理製品、セキュリティ製品などを統合したパッケージ製品「Open Text ECM Suite」を紹介。インタフェースは連携製品のユーザーインタフェースをそのまま採用するため、使い慣れた画面上での管理が可能だとした。
「Open Text ECM Suite」の構成。業務文書、重要な記録、Webコンテンツ、音声/画像/映像などのデジタル資産、電子メール、各種フォーム、リポートなど、さまざまな種類の企業コンテンツ管理に必要な機能がまとめて用意されている
Open Text社長兼CEO(最高経営責任者)のジョン・シャクルトン(John Shackleton)氏は、世界ECM市場の動向として「Open TextのECM製品は過去10年間で70%の収益増を記録した。景気後退期でも好業績を達成している」と報告。主な販売拠点の構成比は北米が47%、欧州が47%、アジアが6%だが「今後アジア地域での大幅成長を見込んでいる」と自信をのぞかせた。
オープンテキスト執行役員副社長兼営業本部長の荒川勝也氏からは、国内ECM市場の動向が述べられた。同社では当初、日本版SOX法の施行に伴い、内部統制の観点からECMの導入が進むとみていたという。しかし、多くの企業は承認フローの電子化やドキュメント管理製品を導入することで社内プロセス改善を進め、ECMについて大きな導入はなかった。
しかしここ数年で、情報共有の観点から取引先との連携用途などでECM導入が進んでいるという。「プロジェクトの進ちょく状況や機密情報の管理など、取引先との情報共有をシステム化したいという要望がある。調達・購買先との連携、海外を含めた代理店への説明などで、ECMを活用した業務効率改善の必要性が高まっている。またそうした要望に関連して、閲覧権限の設定や画面キャプチャー防止など、セキュリティ面も強化した」(荒川氏)
荒川氏はOpen Text ECM Suiteの一例として、SAP製品を導入している企業向けの拡張ECM連携製品「Extended ECM」を紹介。SAP製品とOpen Text製品の間で互いに作成したマスターデータや文書を自動同期するため、システムを意識することなくデータ(フォルダ)共有ができるという。
「国内でのECM導入がいよいよという段階に来た。2010年がターニングポイントになると期待している」(荒川氏)
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