「ビジネスパートナーは、対応の速さに驚いている」
アライド・アイリッシュ銀行のプライベートクラウド導入戦略とは?
アイルランドや英国で事業を展開する総合銀行でIT戦略を担当するボーデン氏。プライベートクラウドを積極的に活用し、コスト削減とITの対応速度向上を実現した。
アン・ボーデン氏は、新設された最高運営責任者(COO)として2012年7月にアライド・アイリッシュ銀行(Allied Irish Bank:AIB)に入社。経営陣の1人として、AIBの変革計画を指揮している。そして、この計画で極めて重要な役割を果たすのがクラウドテクノロジーだ。
Computer Weekly日本語版 2013年8月21日号無料ダウンロード
本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 2013年9月11日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。
なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。
AIBは総合銀行で、営業の大半はアイルランド共和国内の小口金融だが、北アイルランドと英国でも事業を展開している。AIBのミッションは、2014年までの黒字化とアイルランド経済の回復において中心的な役割を果たすことだ。
AIBの戦略には、3つの大きな柱がある。
中心になるのは、顧客(小口顧客から大企業まで多岐にわたる)への新たなコミットメントだ。効率化を進めてスタッフが接客時間をより長く確保できるようにする。
また別の目標は収入増だ。コスト管理策により、継続して利益が上がる仕組みを作る。これについても、クラウドがコスト削減計画に組み込まれ、効果が期待される。
テクノロジーの重視
AIBがテクノロジーとイノベーションの重視に舵を切ったのは非常に重要なポイントで、将来の見通しは明るい。顧客が利用できる取引方法が拡充されるだろう。顧客は、オンラインや電話など、さまざまな媒体を使って柔軟に取引できることを求めるようになった。AIBは、テクノロジーを活用してこの顧客のニーズに対応していく。
ボーデン氏は金融業界の幾多の浮き沈みを生き抜いてきたが、現在ほど、金融業界はデジタル時代を受け入れて、顧客を第一に考えなければならないと感じたことはないという。
「AIBは、アイルランド共和国内の2大銀行のうち規模が大きい方だ。デジタル化し、顧客サービスを向上するための大規模な変革を遂行している。デジタルバンクとなり、タイムリーに商品を提供することで、コストを削減し、莫大な価値を顧客に提供できるよう取り組んでいる。クラウドは、進化する市場の中でこの変化を起こしていくための戦略に含まれる」
AIBは、プライベートクラウドの開発にOracleのテクノロジーを採用した。行内開発において、変化し要求の厳しさを増す市場に対応できるだけの技術力と柔軟性を確保するためだ。
「金融危機以来、銀行に対する規制と収入を取り巻く状況はさらに厳しくなった。その一方で、顧客が日常的に持ち歩く端末に新しいテクノロジーが使われるようになり、顧客の期待は高くなった。顧客はどのビジネスパートナーとの手続きにも新しいテクノロジーを使いたいと考えている」
このニーズに応えることがデジタル時代では極めて重要であり、AIBはプライベートクラウドを使うことで対応力が向上しているとボーデン氏は説明する。
「クラウドを導入したことで、商品をスピーディに市場に投入し、テクノロジーを整理統合し、顧客にとっての可用性を高めることができている」
統合スタック
レガシーサーバは、新しい資産に道を譲った。統合率、一貫性、レジリエンス(回復力)の向上を図りスタック全体をOracleベースとした結果、コスト削減につながる具体的な数字が出ている。
ボーデン氏は、「COOとして、ビジネス環境への対応、コスト削減、柔軟性と応答性の向上を担当している」と話す。
AIBのプライベートクラウドプログラムにより、Oracle Databaseの台数は10分の1になった。AIBは常にOracle Databaseを使ってきたが、このプログラムの実施以前は、データベースをサポートするためのハードウェアおよびテクノロジー一式を別に用意していた。
統合スタックを導入する決め手になったのは、簡略化と効率化だ。導入に際しては、デメリットとしてベンダーロックインの問題も考慮されている。
「ベンダーを1社に絞ることで、システム全体が簡略化された。プライベートクラウド内で問題が発生したら、連絡するのは1社で済む。既にこのメリットは現れている」
現在では、プライベートクラウドがもたらしたさまざまな可能性を内部のスタッフに伝えることが、開発と対応の速度を上げるための優先事項となっている。つまり、対応力に劣るレガシー資産が足かせだった、従来の考え方からの脱却を図っている。
「プライベートクラウドについての内部マーケティングを展開し、周知に努めている。以前の制約のある環境で仕事をしているときは、プランニングに時間がかかっていた。現在はデジタル時代にふさわしいペースで行動できる。スピーディな作業が可能なのだから、それを奨励する必要がある」
これは金融業界にとって重要で、経済を活性化するカギだとボーデン氏は言う。新しいプライベートクラウドによって、中堅・小規模企業(SMB)市場向けのアプリケーションを8週間以内にリリースし、配布できるようになった。これは以前ではできなかったことだ。
「SMBに融資を提供する必要があるが、SMBが必要とする融資を届けることは難しい」
「以前は、着想を得た時点で、ウォーターフォール型の開発を始めただろう。その場合、運用および開発環境の準備に、さらに2、3週間かかる。目的のアプリケーションが提供されるまでには、幾つもの段階を経ることになるが、総じて、このサイクル全体にかかる時間が20%短縮された」
AIBでは、開発ペースの向上によるメリットを享受しているという。ボーデン氏の話では、AIB内部の反応は上々のようだ。
「ビジネスパートナーは、対応の速さに驚いている。IT部門はいつでも臨戦態勢にあり、いかなる形でもテクノロジーがビジネスの足かせになることはない。IT部門は打てば響くパートナーとして業務部門と連携できている」
「クラウドによってセキュリティは向上する」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
7
AI時代のITインフラ戦略とは? 販売代理店が知っておきたい最新トレンド
-
8
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
9
人間のせいでAIエージェントの生産性が上がらない
-
10
「IBM i(AS/400)はクローズドなシステム」という誤解 DXに寄与する一歩
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー