米830社のITリーダーに調査
「パブリッククラウド」は2014年もセンターポジション、その光と影
米TechTargetが2013年秋に実施した調査によると、企業がパブリッククラウドを導入する目的のトップが「コスト削減」から「ビジネスニーズ」に変化しているという。
2014年のパブリッククラウドコンピューティングは、ビジネスニーズが主役になる。
米TechTargetが2013年秋に実施した「Fall 2013 Cloud Pulse」調査(半年ごとに実施)によると、回答企業830社のITリーダーたちの約半数(45%)は、パブリッククラウド導入目的のトップに「ビジネスニーズ」を挙げた。
こうした傾向は、ここ数年で大きく変化した。2年前の調査では、パブリッククラウドサービスの導入目的について、回答企業の圧倒的多数(73%)が「コスト削減」としていた。2013年秋の調査では、コスト削減を挙げた企業は29%にとどまった。
最高情報責任者(CIO)やアナリストから聞いたところによると、今回の調査結果は、自分たちの実感や2014年に向けた予測とおおよそ合致しているという。そして、こうした傾向は、「ITサービスの責任者からビジネスストラテジスト、技術パートナーからユーザーまで、多くの企業におけるCIOの役割が大きく変化しつつあることを示している」と口をそろえる。
事実、「ビジネスニーズに対応するためには、クラウド導入を強く検討する以外、CIOにほとんど選択肢はない」と彼らはいう。IT部門は、クラウドの機敏性という強みを逃すことはできない。
合わせて考えるべき、シャドーITの問題
そして、同様に重要なことは、「シャドーIT」によって進められる危険なクラウド導入に一定の歯止めをかける必要があることだ。シャドーITによるクラウド導入は、ビジネスユーザーをターゲットにしたクラウドサービス側のマーケティング、サービス提供によって、近年急速に広がりつつある悪しき慣行である。
米ミシガン大学のCIO、ローラ・パターソン氏は、そうした動向を代表する1人だ。
同大学では、IT部門から職員に提供されるものよりも優れた、より高速なオプションを学外から探そうとしていた。そこで注目したのが、大学データの保護契約外に進められた商用クラウドストレージプラットフォームの導入だった。
その必要性は理解していたが、リスクも認識していたパターソン氏のチームは、米Boxのクラウドストレージ、ファイル共有サービスを導入した。サービスは直ちに利用可能になった。オンプレミスのサービス構築は選択肢になかった。というのも、コンシューマーグレードのサービス導入に伴う危険よりも、利用開始のタイミングの方が重要だったからだ。
「インフラに投資せずにクラウドサービスを提供できる、というのがわれわれの考えだった」とパターソン氏は語る。もし、契約の最後の最後で、サービスが導入されないということになっていたら、「大学のIT部門はインフラと開発ためのサンクコスト(埋没費用)で立ち行かなくなっただろう」と同氏はいう。
「個人用ストレージ、コラボレーション、ファイル共有を目的に、Boxを導入するという意思決定は、ストレージを迅速に提供したいというビジネスニーズが後押しした。必ずしもコスト削減のためではない」とパターソン氏。
コスト削減か、機敏性か? クラウドはその両方を提供
クラウドは、2008年にコンピューティング環境のメインストリームに浮上したこともあり、常にコストの話題から始まり、コストを中心に議論されてきた。そう語るのは、CIOコンサルタント会社、米Avoaの前CIOで現在同社のCIOアドバイザーを務めるティム・クローフォード氏だ。しかし、そうした状況は最近変化したという。「新しい技術は、必ずしも直接的なコスト削減が全てではないということが、ようやく認識されるようになった」と同氏は語る。
今回のCloud Pulse調査や他の調査結果が示すように、「CIOやITリーダーたちはクラウドを『外にある』オプションというよりも、むしろ日常的に利用できる技術と見ている」とクローフォード氏。「これらの調査結果がわれわれに語り掛けていることは、ちまちまとした倹約よりも、もっと大きな未来図があるという認識が生まれつつあることだ」と同氏。「それは非常によい傾向といえる」
米調査会社Forrester Researchのアナリスト、ジェームズ・スタテン氏も、そうした変化に気付いている。同社が実施した最近の幾つかの調査を見ても、クラウドの導入目的の最上位は全て「スピード」であるという。それは企業が常に追い求めるものだ。Cloud Pulse調査に協力したCIOやITリーダーたちが、ビジネス上の価値を認めてクラウドに注目しているのであれば、「彼らは、ついにそれに気が付いたということだ」と同氏。
とはいえ、それでもこの技術から実際にビジネス価値を得るまでは、長いプロセスになるだろう。米調査会社Gartnerが、2000社以上のCIOを対象に実施したグローバルな調査から導き出した2013年度の予測によると、企業は平均で、クラウドコンピューティングを含む各種テクノロジーによるビジネスのポテンシャルの43%しか認識していないという。
Gartnerのアナリストでリサーチディレクターのエド・アンダーソン氏は、「その数字はすぐに上昇するだろう」と楽観的な見方を示す。「企業は2014年、熱狂的に自信を持ち、高い割合でクラウドの導入に向かう」と同氏は予測する。「2014年は次のレベルに進む年だ。クラウドは広範なテクノロジーのプランに組み込まれていく」
もっとも、そこでコストの問題が除外されるわけではない。ITリーダーの多くは今日、クラウド技術の導入をビジネス上のメリットを得るためとするだろう。だが、「クラウドのコスト面の優位性にも引かれているはず」と同氏。
キーワードは「ポテンシャル」だ。CIOたちが既に学んだように、「クラウドにはさまざまな関連コストが発生する」とアンダーソン氏。従業員の教育、ビジネスプロセスの再設計、伝統的なシステムとクラウドとの統合などだ。しかし、たとえそうであっても、問題はビジネス上のメリットがそうした追加的なコストを相殺するかどうかである。「もしCIOたちがビジネス上の観点からそこに十分な価値を見いだせば、移行する価値があり、彼らはそうするだろう」
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