リモートサポートが次の注目市場
1000回のチャットよりも“スマホ動画”――製品サポートに新潮流
電話やチャットが主流だった製品サポートに、スマートフォンのカメラを使ったライブ動画という新しい波が生まれている。そのメリットは?
「IT部門はサポートできないようなソフトウェアやハードウェアを買わない」という古くからの原則は今も生きており、急速に高まるIoT(モノのインターネット)製品の波の後には「モノのサポート」製品の波がやって来ても不思議ではない。
リモートサポートツールの老舗プロバイダーである米LogMeInが狙っているのが、まさにその市場だ。同社が発表した「Rescue Lens」は、ITサポート担当者がユーザーのスマートフォンから送られたライブ動画を製品トラブルの解決に利用するためのアプリケーションだ。
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Rescue Lensは無償で提供され、米Appleの「iOS」端末および「Android」端末に対応する。画質は毎秒30フレーム。ホワイトボード機能も備えているので、IT担当者はどこに問題があり、どうやって修理すればいいのかを、画面上でペンを使ってユーザーに示すことができる。サポートの詳細をログに保存したり、各セッションの動画を記録したりする機能も備える。
Rescue LensがAppleの「FaceTime」や米Googleの「Hangouts」(ハングアウト)などの製品と異なるのは、Rescue Lensが「Rescue」という既存のヘルプデスクアプリケーションに組み込まれているという点だ。このためRescue LensはRescueの既存機能を利用でき、管理者による監査と監視も可能だ。
LogMeInでRescue製品シリーズを担当するディレクターのピーター・ザイナウン氏は「このアイデアは以前に試したことがある。当時は『WebRTC(Real Time Communication)』のような規格がなく、既存の技術が使いにくかった。だが今ではWebRTCがモバイル動画におけるストリーミング技術の事実上の標準となったことで、非常にやりやすくなった」と説明する。
「Rescue Lensのようなサポート製品の最大の魅力は動画機能にある」とアナリストらは指摘する。動画機能は、エンタープライズレベルのサポート製品に対する企業の関心を一段と高める起爆剤の役割を果たすという。
「ネット接続機能や携帯電話搭載カメラの性能が向上するのに伴い、Rescue Lensに見られるような動画のサポートの魅力が高まるだろう」と話すのは、英市場調査会社Ovumで顧客エンゲージメントを担当するシニアアナリストのアフロダイティ・ブリンズミード氏だ。「だが顧客にRescue Lensアプリをダウンロードさせ、正しく使ってもらうようにするには、企業は効果的な利用方法とメリットを示す必要がある」
「リモートサポートツールに動画機能が搭載されることにより、ITサポート担当者とユーザーの両方のエクスペリエンスが大きく変わるだろう」と指摘するアナリストもいる。
米Constellation Researchの創業者で主席アナリストのR・レイ・ワング氏は「ダイレクトサポートという面では、各個人に合わせたサポートが可能で、問題を素早く解決できる。1000の言葉やチャット、IM(インスタントメッセージ)よりも画像の方が分かりやすいからだ」と語る。「デバイスの面では、ビデオモニタリング機能により、担当者が事前予防的なサポートを提供できるようになる」
あるアナリストによると、この製品はITサポートのコストを削減するだけにとどまらず、出荷前の製品の品質保証の向上にも役立つという。
米コンサルティング会社Frost and Sullivanでグローバルディレクターを務めるスティーブン・ロインド氏は「Rescue Lensの魅力は技術サポート担当者が見えることではなく、問題が見えるということだ。これは、欠陥のある製品が出荷されるのを未然に防ぎ、オンサイトサポートの必要性を削減するのにも役立つ可能性がある」と語る。
IoT対応デバイスが爆発的に増加する一方でITのコンシューマー化が進み、市場調査会社は新時代のリモートサポート製品を提供するベンダーに大きなチャンスがあるとみている。米市場調査会社IDCは、最近の調査報告書の中で「クライアントレス型リモートサポートソフトウェアツールの市場規模は2014年の5億4400万ドルから2019年には12億ドルに成長し、年率にして17.4%のペースで拡大する」と予測している。
同報告書によると、エッジデバイスのリモートサポートが「次の大きな戦場」になり、この市場を狙っているベンダーは直ちに戦略を策定すべきだという。
Rescue Lensは2015年4月にリリース予定。LogMeIn Rescueのライセンスを持っている全ユーザー向けのアップグレードという形で提供される。価格は1ユーザーに付き年額1299ドルから。
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