こんなこともあろうかと
今よみがえる、“あのとき使えなかった”ストレージ技術(1/2 ページ)
今も多種多様なストレージ関連の新技術が誕生している。しかし、生き残るのはほんのわずか、と思いきや、思わぬ理由で主役に返り咲くことがあったりなかったり。
かつては興味深いストレージ技術と思われていた「RDX」(Removable Disk Exchange system)は、厄介物のように何度も売却されてきた。RDXは、HDDをテープのように使える技術。HDDを内蔵したRDXカートリッジを専用のRDXドライブに装着すれば、ランダムアクセス性能など、ディスクベースバックアップのさまざまなメリットと、バックアップテープのポータビリティを生かせる形で、データをバックアップする準備が整う。
しかし、外側が似た作りになっていても、HDD内蔵のRDXカートリッジはテープとは違う。ポータビリティも耐久性も信頼性もそれほど高くない。数カ月や数年間、使わずに保管した後では特にそうだ。こうした短所は、RDXのスケーラビリティが低いということも意味する。そのためにRDXは主に、価格に敏感な中小企業やSOHOで使われている。
流転の「RDX」
米ProStor Systemsが10年以上前に開発したRDXは、有望なストレージ技術として登場した。ほとんどの企業でバックアップにディスクストレージを広く利用し始めたのとほぼ同じ時期だ。RDXベースの製品は、DellやHewlett-Packard(HP)、IBM、Imation、Tandberg Data(現在はカナダと米国に本社を置くSphere 3Dの子会社)などなど、ProStorと提携した多くのパートナーが販売していた。
しかし、リムーバブルディスク革命は起こらなかった。2011年にImationとTandberg Dataが、ProStorのRDX関連の知的財産と製品ラインの一部を買い取った。2014年1月には、不振のテープバックアップ製品事業からの多角化を目指していたOverland StorageがTandberg Dataを買収してRDXを獲得する。そして、2014年12月、Sphere 3DがOverland Storage/Tandbergの完全子会社化を発表した。
これらの取引は、“似た者同士”で行ってきたという印象があるが、その結果として、どの企業がRDXを所有しているか分かりにくくなってしまった。RDXに満足しているユーザーがいることは間違いないものの、その数は、優れたアイデアと期待されたRDXが、ニッチな存在から脱却するのに十分ではなかった。
しかし、ストレージ分野の厳しい現実の中で、急速に影が薄くなった技術はRDXだけではない。
尻すぼみの「LTFS」
テープをNASのように扱えるストレージ技術として登場した「LTFS」(Linear Tape File System)も、LTO(Linear Tape-Open Technology)業界団体が発表された当時は有望だった。開発を先導していたのは“あの”IBMだ。テープでNASのようなファイルシステムを利用できるLTFSは、テープのさまざまな新しい用途を生み出した。例えば、テープの経済性を享受できるとともにファイルへのランダムアクセスが可能なストリーミングメディアやアクティブアーカイブの大容量リポジトリなどだ。
しかし、LTFSを普及させる計画は、少なくとも法人向け市場で行き詰まった。現在出荷しているLTFS製品の大半は、放送出版やエンターテインメント分野向けだ。LTFSをベースに開発したエンタープライズクラスの製品は数多くあるが、導入したケースはごく一部だ。ストレージ専門家の間でLTFSに対する注目は著しく低下している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
「0.3秒のスピード顔認証」の入退室管理が社員に好評 事例に学ぶオフィス改革
-
4
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
5
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
6
「身代金を支払う」以外のランサムウェア対策は本当にあるのか?
-
7
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
8
エンジニアの生産性はどう測る? マネジメントに不可欠な可視化の実現方法とは
-
9
「また同じ説明か」 消費者の半数が離脱するAIチャットbotの“記憶喪失”
-
10
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
9
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー