適切なツールと適切なチームで勝負
“ユニコーン”なデータサイエンティストは不要、専門家不在でもうまく回る企業とは(1/2 ページ)
データサイエンティストはビッグデータアナリティクスで貴重な役割を果たせるが、あらゆる企業に必要というわけではなさそうだ。データサイエンティストがいなくても技術と企業文化で課題の克服に挑む企業もある。
医療給付の管理業務を手掛ける米eviCore Healthcareは2013年に、リアルタイム予測アナリティクスを活用する方法を検討し始めた。ただし、アナリティクスチームの構造が同社のビジネス部門から切り離された形になるのは避けたかったという。
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データサイエンティストに頼らずどこまでできるか
データサイエンティストという仕事
eviCoreで業務改善プロジェクトを担当するマット・カニンガム執行副社長は、かつてIT部門の責任者を務めた経験から、ITを中心とするアナリティクスインフラはデータのサイロ化につながり、重要な情報の共有が難しくなることを知っていた。同氏が目標としていたのは、アナリティクスの取り組みを強化することによって“ビジネスを本来のビジネスに戻す”ことだった。「アナリティクスと意思決定が果たす役割を最小限にとどめることができるようにすべきだ」とカニンガム氏は話す。
このため、eviCoreでは高度なアナリティクスプログラムに関連するものをなるべく避けるようにした。カニンガム氏は、博士号ではなく修士号を持つ4人のアナリストで構成されるチームを雇い入れた。彼らの主な専門分野は経済や財務だ。そのうちの1人は数学のバックグラウンドがあった。
さらに同社は、米SAS Instituteのソフトウェアや米IBMの「SPSS」など市場をリードする高度なアナリティクスツールを避け、新興企業の米Alpine Data Labsのソフトウェアを選んだ。カニンガム氏は、「データサイエンスにとらわれる」のを避けるにはツールの選択が重要だと述べる。
アナリティクスの「ユニコーン」を追い求めない
今日、eviCoreのような戦略を採用している企業は少なくない。データサイエンティストを雇うコストが上昇する一方で、この分野では依然として人材不足が続いている。このためeviCoreなどの企業は、データサイエンティストの“ユニコーン”(訳注:さまざまな特徴を持つ一角獣のように多様なスキルを持つスペシャリスト)と称される人材に大枚をはたくよりも、自社のデータを活用し、ビッグデータアナリティクスチームを構築する方法を求めている。
カニンガム氏の場合、この方向性は、データによって達成できることについて現実的に考えることにも関係しているようだ。ビッグデータアナリティクスで素晴らしいことが実現できるという話をソフトウェアベンダーから聞くたびに、同氏はいつもうたぐり深い気持ちになったという。アナリティクスと非構造データの分析を連係するという宣伝文句は盛んに飛び交っているものの、カニンガム氏にとって問題は、それがビジネスにどう結び付くのかということだ。「現実には、複雑なデータに対して優れたデータモデリング手法をビジネスレベルで効果的に連係するのは難しい」と同氏は指摘する。
このため、カニンガム氏は個々のデータ分析プロジェクトから具体的な価値を引き出すためのアナリティクスチームを構築することに力を入れている。同氏によると、このチームは現在、医療給付請求のうち保険の適用対象となるものとならないものを予測するための優れた分析モデルを構築しようとしているという。目的は、医療事業者から医療費の請求があったときに、保険適用の可否を判断するのにかかる時間を短縮することだ。この判断には、医療診断コード、請求を提出した医師の専門分野、その他の臨床情報などの要素をチェックするモデルを請求データに適用する必要がある。
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