総当たり攻撃が40倍容易に
新iPhoneは大丈夫? 「iOS 10」のパスワード照合に脆弱性で心配の声
Appleの最新モバイルOS「iOS 10」のパスワード照合に脆弱性があることが分かった。ローカルバックアップのセキュリティが大きく低下し、攻撃者がパスワードなどの機密データを入手する危険性がある。
Appleの最新モバイルOS「iOS 10」は、パスワード照合メカニズムのセキュリティレベルが低下していることが判明した。
ロシアのデジタルフォレンジック(デジタル鑑識)企業Elcomsoftは、iOS 10のパスワード照合システムに「セキュリティの重大な問題」が見つかったことを明らかにした。iOS 10は、iOS 10端末で作成した「iTunes」に保存するローカルバックアップのセキュリティレベルが低下し、ユーザーの認証情報を狙ったブルートフォース(総当たり)攻撃が40倍も容易になっているという。
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Appleのセキュリティ対策
この新しいパスワード照合メカニズムは、従来のメカニズムと共存しており、従来のメカニズムの方は高い安全性を維持している。しかし新しいメカニズムは、Elcomsoftが同社のモバイル端末用のフォレンジック製品に搭載した攻撃で突破できるという。この攻撃で解読できるローカルバックアップには、キーチェーンデータも含まれる。iOS 10のこの脆弱(ぜいじゃく)性を悪用すれば、パスワードや認証トークン、クレジットカード情報など、キーチェーンで暗号化されているあらゆる機密データを攻撃者が盗み取ることができるとしている。
Elcomsoftのセキュリティ研究者、オレグ・アフォーニン氏は次のように述べている。「私たちはiOS 10のバックアップ保護メカニズムにセキュリティの重大な欠陥があることを発見した。この欠陥を悪用する新しい攻撃は、ある種のセキュリティチェックを突破することで、iOS 10端末で作成したiTunesに保存するローカルバックアップのパスワードを見つけることができる。脆弱性への影響は重大だ」(アフォーニン氏)
Appleはこの欠陥を認識しているが、iOSの脆弱性発見の目的で新たに開設したAppleバグ報奨金プログラムにこのバグが報告された形跡はない。
AppleのスポークスパーソンはTechTargetに次のように語った。「私たちは、iOS 10端末から『Mac』やクライアントPCのiTunesに保存するバックアップに、暗号化強度の問題があることを認識している。この問題は、今後のセキュリティアップデートで対策する予定だ。この問題はAppleの『iCloud』のバックアップに影響しない」。Appleは、MacやクライアントPCを強いパスワードで保護し、権限のあるユーザーでなければアクセスできないようにすることを推奨している。追加のセキュリティ機能として、Appleの「OS X」に搭載しているディスク全体を暗号化する『FileVault』も利用も有効だという。
iOSのバックアップに追加された、この新しいパスワード照合メカニズムをElcomsoftが発見したのは、同社のフォレンジック製品「Elcomsoft Phone Breaker」をiOS 10用にアップデートしようとしたときだったという。
「調べてみると新しいメカニズムは、あるセキュリティチェックを省略していることが分かった。そのためiOS 9やそれ以前のメカニズムより、約2500倍速くパスワードを試行できた」とアフォーニン氏は話す。
「この新しい攻撃が有効なのは、iOS 10端末で生成したパスワード保護付きローカルバックアップだけだ。この攻撃自体はiOS 10のバックアップにしか通用しない。興味深いことに、この“新しい”パスワード照合方式は“古い”方式と共存している。だが古い方式は依然として有効で、これまでと同様にパスワードを突破するのに時間がかかる」(アフォーニン氏)
ある専門家は、Appleがこの新しいメカニズムを意図的に追加したのではないかと疑問を呈する。パスワード専門会議「PasswordsCon」の創設者であるペール・トアシェイム氏はブログ記事で次のように述べた。「AppleがiOS 10のβ版を数多く実施したことを考えると、これが純粋な間違いでないことは容易に想像できる。Appleに問いたいのは、セキュリティとプライバシーをこれほど大きく低下させたのは故意なのかということだ。これは愚かな過ちだったのか。そうでないなら暗号技術者や開発者が無能だったということなのだろうか」(トアシェイム氏)
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