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UberのCEO辞任が証明する「企業文化が病めば企業全体が病む」明確な行動理念を打ち出すことが重要(1/2 ページ)

Uberのトラビス・カラニックCEOの辞任は、企業文化の重要性を浮き彫りにした。CIOは企業文化の育成にどう貢献できるのだろうか。

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カラニック氏の辞任劇は企業文化の重要性を改めて浮き彫りにした<クリックで拡大>

  Uberの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のトラビス・カラニック氏が2017年6月20日、株主からの圧力で辞任に追い込まれた。規模の大小や新旧を問わず、あらゆる企業がこの出来事から学ぶべき教訓は「企業文化が病めば企業全体が病む」ということだ。

 配車サービス大手のUberは700億ドルの企業価値を持つ、シリコンバレーのユニコーン企業(未上場でも評価額が10億ドルを超える企業)だ。Uberはここ数カ月、数々の問題で論争の的となってきた。元従業員によって内情が暴露されたこともその1つだ。同社のエンジニアを務めていたスーザン・ファウラー氏は、2017年2月、Uberの企業文化が混乱状態にあり、社内にはセクハラがまん延していると告発するブログ記事を投稿した。

 同じく2017年2月には、会社の経営方針を巡り、カラニック氏がUberのドライバーと車の中で口論する場面を捉えた動画がインターネットで拡散し、注目を集めた。動画には、会社の経営判断に異議を唱えたドライバーに対し、カラニック氏が短気を起こし、罵倒する様子が収められていた。

 問題の動画が公開された数時間後、カラニック氏は公式サイトで謝罪を余儀なくされた。「今回初めて認めることだが、私は指導者として助けを必要としている。助言を得るつもりだ」(同氏)

 既存のビジネスモデルを大きく変革したゲームチェンジャーとして、歴史に名を残すであろうカラニック氏。同氏の反省は遅きに失し、十分なものでもなかった。その結果が今回の辞任だ。

 調査会社GartnerでCIOリサーチグループのディレクターを務めるマイク・ラムジー氏によれば、Uberの混沌(こんとん)とした現状は、IT業界の若き起業家たちの多くが掲げる「事前に許可を求めるより、事後に許しを請え」というモットーを実践してきた結果だ。企業文化は、トップの行動が徐々に強化されていく中で生まれる。

 並外れた個性の持ち主が率いるスタートアップ企業ほど、企業文化の重要性が桁外れに増す傾向にある。そう指摘するのは、コンサルティング会社StarCIOの主任アナリストで、かつては企業のCIOを務めた経験を持つアイザック・サコリック氏だ。「ヒット商品やヒットブランドを生み出し、急成長することを至上命令とするテンポの速い職場では、社内のプレッシャーも相当高い。そうしたプレッシャーは、職場の雰囲気にとってプラスとなる場合もあれば、ひどくマイナスの影響を及ぼす場合もある」と同氏は語る。

 病的な企業文化は生まれたら最後、圧倒的な勢いで広がってしまう。2017年に入り、14人の幹部がUberを去った。ジェフ・ジョーンズ前社長もその1人だ。「Uberで目にしたことや経験したことは、リーダーシップに対する自身のこれまでのアプローチとは相いれないものだった」とジョーンズ氏は語る。

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